私の健康づくり 脳梗塞でも“脳のだましのテクニック”で歩くことができました!
九州歯科大学名誉教授 小園凱夫さん(73歳)
脳血管疾患は日本人の全死因で4番目に多く、平成26年の総患者数は117万9,000人。平成27年の死亡数は年間11万1,973人で、若い人の脳血管疾患も増えています。脳血管疾患で片マヒや言語障害などの後遺症が残り、“うつ状態”になる人も多いようです。脳血管疾患を患いながらも自らの脳をだましてリハビリを楽しみ、歩けるようになった小園凱夫さんに『脳のだましのテクニック』を伺いました。
両足麻痺の自分を研究材料に考えた
小園さんは若い頃から歯科の研究に没頭しつつも、山登り、野球、テニス、釣り、ゴルフ、ガーデニングと多趣味。生活習慣病もなく過ごされてきましたが、59歳で初めて脳内出血を患い、右手右足マヒの後遺症が残りました。歩く努力をしてもマヒがあるなら仕方ないと思って日常生活を送っていたところ、7年後の66歳のときには脳梗塞になり、今度は左側がマヒ。両足とも歩けない状態になってからマヒは脳の病だと気づき、自分を研究材料と考えて真剣に取り組むようになったそうです。
『脳のだましのテクニック』を考案し、失った運動の要領を身体と脳に再学習させようと試行錯誤しながら自己流で脳に働きかけるリハビリを続けた結果、2年間で何とか歩けるようになったといいます。そのヒントはある日、髪を洗うときにマヒの右手が健全な左手と一緒に動かすとだまされてスイスイ動いたことでした。このやり方で脳をだまし、おだてながらのリハビリを続けました。すると書けなかった字も10年半ぶりに書けるように。小園さんは「損傷を受けた運動神経のバイパスが構築されたのでは」と考えています。
脳血管疾患のマヒは「脳の病です」
「マヒの感覚は経験した人にしかわかりません。脳の病だというのが根底の考えです」と小園さん。そして「マヒの原因は脳の損傷にあるとだれもが承知していながら、リハビリの段階になると急に手足の病に置き換えてしまい、多くの施設が旧態依然として末端の手足を対象にした対症療法的リハビリに終始しています。これではマヒは治るはずがなく、脳のリハビリが必要なのです」。
つらい後遺症を抱えて悩む患者さんのために、九州労災病院では3年前から患者会をつくり、小園さんの体験を聞いたり、相談や情報交換を行う場を設けています。
「マヒが回復できるのは6か月以内というリハビリ界の常識は本当ではありません。大事なことは自分で自分の身体を治すという強い意志をもって楽しく取り組むこと。そして少しの変化、進歩を喜べば脳がおだてられ、達成感にもつながのです」と小園さん。
小園さんのリハビリを進めてきた体験を次号の「どーもどーも」で連載していきます。また、興味のある方、実践したい方は、『脳をだまして、おだてるチャレンジ リハビリのすすめ』という本をご購入ください。
『ど〜もど〜も』の冊子では小園さんの体験を連載しています。
プロフィール
小園凱夫(こぞの よしお)
平成20年に九州歯科大学を定年退職。九州歯科大学名誉教授
家族構成は次女家族と同居。同敷地内に長女家族がいる。
血秋型はAB型
好きな言葉は「人間万事塞翁が馬」