「第1回 世界長寿サミット」が京丹後市で開催

京都府立医科大学大学院医学研究科 循環器・腎臓内科学 副学長 教授
「第1回 世界長寿サミット」実行委員 的場聖明さん
世界的に高齢化が進む中、健康長寿の促進は多くの国が直面する共通の課題です。こうした状況を背景に、昨年6月16日から19日まで、京都府京丹後市において「第1回世界長寿サミット」が開催されました。サミットには10カ国から第一線の専門家が集い、老化生物学、生活習慣医学、地域密着型健康戦略に関する最新の知見が幅広く議論されました。研究者を含め550名の方の参加がありました。その成果について、サミット実行委員の的場聖明さんにお話を伺いました。
京丹後市は、百寿者率が日本平均の約3倍という、全国でも際立った長寿地域です。2011年には、116歳で男性長寿のギネス世界記録に認定されている木村次郎右衛門さんが生まれ育った場所でもあり、以前から国内外の研究者の関心を集めてきました。
この研究の流れについて、的場さんは次のように話します。
「弘前大学の中路重之先生が、『短命県』と言われてきた状況を変えようと、2008年から毎年約1000人を対象に、3000項目にも及ぶ採血データや生活習慣の調査を続けてこられました。ただ、弘前だけでは限界があるということで、『長寿地域』の京丹後でも同じ調査ができないか、というお話をいただいたのがきっかけでした」
京丹後市では2017年から、65歳以上の方を対象に、約2000項目の調査を行っています。全身のCT撮影や認知症検査も含め、現在は1250人の方を定期的に追跡しています。
「調べてみると、やはり元気で自立した生活を送れる『健康寿命』が長い人が多いことが分かってきました。百寿者の皆さんの食生活や日々の暮らし方にも、共通する特徴が少しずつ見えてきています」
今回のサミットで特に注目された点については、次のように語ります。
「老化をどう測り、どう遅らせるかという点です。DNAメチル化の変化から生物学的年齢を測る『エピジェネティック時計』、細胞の掃除(リサイクル)機能とも言えるオートファジー、そして腸内細菌と健康寿命の関係が大きなテーマになりました。生活習慣や食事が老化のスピードに大きく影響することが、最新の研究で示されています。また、腸内環境は免疫や認知機能、代謝とも深く関係しており、乳児期の環境や母親の健康状態が、将来の病気のリスクにまで影響するという話も印象的でした。さらに、高齢者を支えられる存在としてではなく、社会を担う存在と捉え、地域活動や学びに参加すること自体が健康につながるという提案もありました」
同サミットで夜久均大会長は、次の4つの柱を共同宣言として掲げました。
① 絆を育み、コミュニケーションを絶やさないこと
② 植物性たんぱく質や食物繊維の豊富な食事を、仲間と共に楽しむこと
③ 規則正しい生活と運動習慣を日々の暮らしに取り入れること
④ 感謝の心をもち、生きがいを感じる毎日を大切にすること
このサミットは、科学と文化、地域の知恵を融合させることで、世界中の誰もが健康で尊厳ある長寿を享受できる未来を目指す「行動の始まり」として位置付けられています。
「第2回世界長寿サミット」は、2027年にイタリアで開催予定です。










