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第9回介護甲子園施設部門最優秀賞「ちびっこヘルパー」

私の生き方と学びでは、介護事業所ナンバー1決める “介護甲子園”!!を主催している日本介護協会理事長の平栗潤一さんを紹介しました。

最優秀賞に選ばれるためには、今まで行われなかった試みや学びと気付きが必要だそうですが、第9回介護甲子園で7,671件のエントリーの中から施設部門で最優秀賞に輝いた「ちびっこヘルパー」について紹介したいと思います。

小学校で行った認知症サポーター養成講座が縁となり、若い時から介護に触れてもらうことで未来の介護職を作りたいと考え、小学生にグループホームの介護のお手伝いをしていただいています。お手伝いと言っても、しっかり仕事をしてもらい、お給料の代わりに文房具やお菓子を渡します。ちびっこヘルパー用のタイムカードを作って、しっかり勤怠管理もしています。

私たちは憧れの職業ランキングに「介護職」が入ってほしいと考えています。でも現在はランキングにすら入っていません。なぜかと考えると、核家族化が進む現在、おじいちゃんやおばあちゃんとの同居世帯が少なくなり、子どもたちが高齢者と接する機会が減ったことで、必然的に高齢者を支える介護ヘルパーさんを見かけることも減少したのだと思います。だからこそ、ちびっこヘルパーとして介護施設に出入りすることで、子どもの頃から介護を身近に感じてほしいと願っています。

実際、ちびっこヘルパーとして手伝ってくれている小学生たちの「将来の夢作文」に『夢は介護職』と書いてくれた生徒もおり、校長先生からお礼の手紙と手作りマスクをプレゼントされたこともありました。

グループホームでのちびっこヘルパーの主な役割は、お年寄りとのコミュニケーションです。食事の介助もしてもらいます。ご飯を食べたくないお年寄りも「おばあちゃんご飯食べないと元気にならないよ」と小学生に言われると食べるんですね。大人に言われても聞かないんですが。

また、子どもたちが見ているという意識が職員にも芽生え、職員の背筋がピンと伸びました。子どもたちがすぐ真似するので、言葉遣いなども気をつけるようになりましたね。ちびっこヘルパーさんたちが来てくれることで、利用者さんだけでなく職員にもとてもいい影響を及ぼしました。

私たちのグループホームでは希望している方には看取りを行っています。「どこで最期を迎えたいですか?」とお聞きすると病院のベッドではなく、みんなに見守られてグループホームで最期を迎えたいという方も多いのです。ちびっこへルパーと仲のよかったある利用者さんの持病が悪化して、ターミナル期になりました。それをちびっこへルパーに伝えると、最期まで一緒にいたいというので保護者の関係者に許可を取って、息を引き取るその瞬間までちびっこへルパーさんが手を握ってくれていました。息を引き取った直後、実は・・・とそのちびっこヘルパーさんが利用者さんの似顔絵を出してきました。利用者さんのご家族はその似顔絵を見るなり、ちびっこヘルパーを抱きしめながら号泣。その利用者さんのお葬式の遺影の横に、その似顔絵が飾られていました。今の世の中、人の死に直面することは少なくなっています。ちびっこへルパーを通して、若いうちから「死生観」を養うことができて、この取り組みをやっていてよかったと思いましたね。

第9回“介護甲子園”の練習時にも、ちびっこヘルパーの小学生何人かが来てくれてプレゼンのアドバイスもくれました。小学校の校長先生も応援してくれて、“介護甲子園”も授業の一つとして認めてくれるようになりました。

〈大阪府大阪狭山市:グループホームあおぞら〉

 

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