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“免疫力を高めるコツ” 教えます! ①

この連載は免疫学の権威の故安保徹先生の『ど〜もど〜も』に連載した内容を紹介します。

多くの人たちが抱えている疲れについて、免疫学の権威の安保徹さんが、 免疫力を高めれば、「疲れない、病気にならない体」をつくることができる と指摘しており、その一番いい方法を教えていただきました。活動すれば 疲 れ を 感 じ る の は 誰 で も 一 緒 で す 。「 疲 れ な い 体 」と は 、「 疲 れ を た め な い 体」「疲れてもすぐに回復する体」のことです。疲れを取り、病気を防ぐカ ギは、呼吸や心臓を動かす生命活動の神経「自律神経」です。仕事で無理 が続いたり、ラクな生活が続いたりすると、自律神経が乱れ、免疫力が低 下 し 、 疲 労 物 質 を 処 理 す る こ と が で き な く な り 、 肩 こり や 腰 痛 、 冷 え 、 ア レルギー症状などに。さらに進行すると慢性病やがんなどの大病につなが るため、自律神経を整えることが重要なのです。日常生活ですぐに実行で きる自律神経を整える方法を教えていただきました。

「疲れにくい人」は「病気になりにくい人」

免疫力 「体の声」に耳を傾けてみよう

あなたは無意識のうちに「あー、疲れた」と口走っ てしまったことがあるでしょう。疲れとは、病 気の手前で、体が発する SOS アラーム「体の声」 です。軽視したり、聞き逃したりすると体に不調が 現 れ 、 ひ ど く な っ た 状 態 が「 病 気 」で す 。 疲 れ と上手につき合い、コントロールすることがで !! きれば病気になりません。それどころか体が本 来持っているパワーを存分に発揮することができます。

「5分間の深呼吸」で疲れが取れる!

疲れといってもいくつかの「タイプ」があり、タイプが違えば解消法も違います。 私の専門である免疫学の立場から見ると、人間に備わっている免疫力(ウイル スや細菌などの外敵から体を守る防衛システム。白血球の働きによって、病 気から守る自然治癒力のこと)が病気を癒す。そして、自立神経が白血球の 働 き に 大 き な 影 響 を 与 え る と い う 、「 白 血 球 の 自 律 神 経 支 配 の 法 則 」を 発 見 し ました。この法則から、疲れのタイプとレベルによって解消法が具体的にわか ります。「5分間の深呼吸で取れる疲れ」から「病気のサインとしての疲れ」まで、 自分がどんな疲れの状態にあるのか把握しやすく、対策も立てやすくなります。

「ほどほどに頑張る、ほどほどに休む体」いい方法

「体を温める」だけで疲れにくくなる

交 感 神 経 を 優 位 に さ せ る 要 因 は「 過 度 の ス ト レ ス 」 で す 。 おもに現代人を脅かしているものは、次の3つです。対処法については次号 か ら の 連 載「 免 疫 力 を 高 め よ う!」で 紹 介 し ま す 。

①働きすぎ……眼精疲労、冷房などによる体の冷やしすぎ。睡眠不足などが多大なストレスとなるのです。

②心の悩み……精神的なストレスも交感神経を緊張させます。

③薬の常用……西洋医学で処方される薬は、ほとんど交感神

経を緊張させるものです。 一方の副交感神経を優位にさせる要因は、ただひとつ、たるんだ生活です。ストレスの少ない生活も疲れを生むのです。
対 処 法 は ち ょ っ と し た 体 操 な ど 体 を 動 か す こ と で す。 このように疲れを生む原因は、両極端の生き方、バランスの悪い生き方にあ るのです。

「頑張り屋タイプ」の疲れ 「鉛のように重い体」を「疲れない体」にする!

①「 血 中 の 酸 素 不 足 を 解 消 す る 法 」を 覚 え よ う

仕 事 や 勉 強 に 集 中 し 続 け た 時 、「 あ れ ? 息 を し 忘 れ て い た 」「 呼 吸 が 浅 く な っ ている」と気づいたことありませんか?これは、交感神経が緊張を続けたた めに起こる現象です。血液中に酸素と糖が不足し始めると、それを知らせる た め に 、 疲 れ の 感 覚 が 出 てくる わ け で す。

「軽い疲れ」を解消するには、深呼吸を 5 回ほど行ったり、甘いものを摂っ たりします。休息を入れずに活動を続けると疲れのレベルが上がっていきます。

②「 血 行 が よ く な る 体 操 」を し よ う

「体が少し重く感じる」感覚では、深呼吸をしたくらいでは治りません。こり や重さを感じる部位を動かす軽い体操を 10 〜 20 分行ってください。「体を 動 か す こ と で 血 流 を 回 復 さ せ 、体 の 中 か ら 熱 を 生 じ さ せ る こ と 」が ポ イ ン ト で す 。

③体が重く感じたら「とにかく体温を上げる」

全身クタクタという状態。軽い運動くらいでは回復しないレベルで、病気の 直前状態であるというサインを見ていきましょう。 気分がイライラし、怒りっぽくなります。次に、活動量が多すぎて、やせ細るか、 ストレス解消のための食べ過ぎによる肥満傾向が出て来ます。肌の調子が悪 く、顔などに吹き出物が出始めます。首・肩・背中・腰のこりが進み、目は疲 れ、耳鳴りがします。睡眠中にこむら返りや寝違えを起こしやすく、いびきが ひどくなったり、無意識のうちに口呼吸に。若い人のストレスは、睡眠中の歯 ぎしりとしても現れます。 これらの解消法はお腹や太もも、お尻、二の腕などの大きな筋肉が集まる箇 所を 温 めたり、 ゆったりと 入 浴 すると 効 果 的 でしょう。 ほかにも副交感神経を刺激する「爪もみ療法」「薬を常用しない」ことも大 切です。薬を常用すると交感神経がますます興奮し、疲れやこり、痛みが悪化するサイクルに入りやすいからです。腰痛などで消炎鎮痛剤を使いがちで すが、症状を悪化させることになりますので控えてください。 このレベルで食い止めなければ、次の段階に進むと、40代以降ではがんな どの大病になる可能性が高くなります。

「のんびりタイプ」の疲れ 「やる気が出ない体」を「疲れない体」にする!

①「日光をよく浴びる」…それだけでガラリと変わる!

副交感神経優位の疲れと解消法を見ていきましょう。 「たるんだ生活」が原因なので、交感神経緊張時の疲れ解消法の「よく栄養を取り、ゆっくり休む」方法では、逆に疲れを悪化させることになります。 副交感神経優位の疲れレベル1では交感神経を刺激するためにも、まず日光 をよく浴びることから始めましょう。それから数十分かけて運動して、血流 の回復を図ることです。

②「その日のうちに」寝る!

レベル1が続き、疲れが悪化している状態です。少し動いただけではだめです。 !! 数 週 間 か け て 、 生 活 の リ ズ ム を 取 り 戻 す こ と が 必 要 で す 。 遅 く と も 午 前 0 時
ま で に 寝 て 、 日 の 出 と 共 に 起 床 す る 。 そ して  日 中 は 活 発 に 活 動 す る 。

③やる気がないときは「筋肉をちょっと刺激」

活動量が低い状態が続いたことで、筋力が低下し、体を支えるのがきつくなっ ている状態。肩や腰の痛みもかなり出てくるはずです。 このレベル3の段階で引き返さなければ、病気が待っています。 この段階の体のサインに気づくことが大切です。 気分は沈み、落ち込みがちになります。活動量が少ないことからやせ細る、 あるいは肥満傾向が出て来ます。排泄・分泌機能が活発化し、鼻炎の傾向が 出 て 来 ま す。

さらに心身共に感覚が過 敏になります。 解消法としては、数ヶ月単位でメリハリの利いた生活を続けながら、散歩を し た り 階 段 を 上 が っ た り し て 、 徐 々 に 体 を 鍛 え る こ と 。「 爪 も み 療 法 」 も 効 果 的です。レベルが4、5の域に入ると病気の領域に入り、回復するのに数ヶ 月単位が必要になりますから、早い目に手を打つことが大切です。

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