48歳からの華麗な生き方・老後をサポートする

日本の魚食文化の普及へ全力を尽くす!!

『お魚かたりべ』お魚アドバイザー 山嵜 清張さん(58歳)

水産庁は国民の「魚離れ」を食い止め、魚食文化の普及・伝承に努めている方々を、水産庁長官が『お魚かたりべ』として任命して10年。149名の『お魚かたりべ』の中で、国内外の漁業専門家や子どもから大人まで魚の知識を教え広めている山嵜清張さん。「一人でできることは限られている」と、三重県では料理教室の講師を育て、京都府の漁師の育成校でも講師を努めています。日本の魚食文化の変化についてお聞きしました。

 兵庫県明石市で生まれ育った山嵜さんは、20歳で明石浦漁協職員に。その後、兵庫県漁連の魚食推進室へ転籍。漁協の時から魚のさばき方の体験教室、漁業環境、食についての講話を担当するなど経験は豊富。

10年前にフリーになると、それまでに「どこに行けば明石のおいしいお魚が食べられますか」と聞かれ悩んだ経験から、自ら明石の魚だけにこだわった魚料理店「嵜~SAKI~」をオープン。お店が休みの日には全国から講師として招聘され指導に行きます。

取材日も神戸の中央市場の料理教室で20名の老若男女に、メバルのお造りと煮付けを懇切丁寧に指導。「魚の基本的な扱い方を知っていたら、魚が変わろうが扱いは変わりません。いっぺん食べて美味しかったらまた食べたいと思います。そういう人を育てていきたいです」

水産庁が「魚離れ」に危機感をもっていることについて尋ねると。

「回転寿司も賑わっていますが、人気なのはサーモンにマグロ。養殖の鯛やハマチ、天然物も人気がない。また、漁獲量が減っただけではなく、いろんな魚は獲れるけれど持って帰っても売れないから漁師は獲りに行かないだけ。売れる魚ばかりを獲りに行くので海にも偏りができてきてるわけです。魚にもシーズンがあって、今日のメバルはこれから春にかけての魚ですが、それを意識してる人はいないと思います。野菜や果物のようにシーズンがわからなくなってきています」

コロナ禍の前には魚の知識を習得するためにイタリアやフランス、スペインの漁業関係者がやってきたそうです。「日本で一番注目されてるのは魚の神経抜きです。魚をしめて血抜きすると死後硬直が始まりどんどん劣化していきます。そこで脊髄の中にある神経を針金のようなもので特殊なテクニックで破壊すると、死後硬直が始まる時間を遅らせることができ、魚の鮮度を長く保つことができます。海外の人は必死に覚えて帰りますよ」

「魚好きが一人でも増えればいい」という山嵜さんは、「小さい頃から365日魚ばかり食べてきました。いまはトライアスロンにも参戦中、魚を食べ続けているだけでも健康だということを身をもって見ていただこうと人体実験しています」と話されています。

最後に魚のさばき方のコツについて、「深刻に考えずにまずチャレンジしてもらうことです。失敗したらそれが糧となって次は失敗しなくなります。怯えているとそこから前に行かないですから」と、山嵜さんの好きな言葉が「前へ! 前へ!」という姿勢がよくわかります。

 

 

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