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日本の視覚障害者のバリアフリー対策は世界一!

(社福)日本点字図書館 理事長 田中徹二さん(86歳)

 日本の視覚障害者は約30万人。視覚障害者を取り巻く生活環境は点字表記や点字ブロック、エレベーターの設置など、身体障害者の中でも視覚障害者への配慮は世界のどの国よりもズバ抜けているそうです。視覚障害者の知的レベルを上げ、バリアフリー化を促進させたのは日本点字図書館創立者の故本間一夫さんと、二代目館長(現理事長)の田中徹二さんです。昨年80周年を迎えた日本点字図書館が続けてきた活動について田中さんにお伺いしました。

目の見える人を「晴眼者」というそうですが、「晴眼者」は視覚障害者のことは知らず、点字表記された文字を読むことすらできません。

視覚障害者のために点字図書を普及させた本間さんは、1940年東京に「日本盲人図書館」を創立。1948年に疎開先から戻り「日本点字図書館」と改名し再出発しました。

視覚障害者のための附属施設、「ふれる博物館」は2018年に開設されています。田中さんに点字の由来を尋ねると「1825年にフランス人の視覚障害者ルイ・ブライユが創案したもので、世界各国がその六点式点字を用いています。日本の点字は1890年に翻案されたものです」

日本点字図書館の主な事業は点字図書や録音図書、録音雑誌など製作のほか、全国80カ所の点字図書館や、国内外の視覚障害者に郵送で無料貸し出ししています。

「デジタル化により点字図書はパソコンで入力・編集ができ、点字図書や録音図書のデータが送れるようになりましたが、高齢者はパソコンを使う方が少なく視覚障害者はスマホ操作もできません。そのため、今でも毎日トラックで貸し出す図書を郵便局へ運んでいます」。そう語る田中さん自身も読書が好きで録音図書を3倍速にして、年間数百冊聴いているそうです。

駅の点字ブロックの普及については、「昭和48年に視覚障害者が高田馬場駅のホームから転落死されました。そのお父さんが国鉄(現JR)を相手に訴訟を起こし、国鉄が全国の駅に点字ブロックをつくることになり、私鉄にも広がっていきました」と田中さん。

バリフリー化は各分野にも広がり、田中さんは視覚障害者の代表として意見を述べ、家電商品等に点字を付ける位置などをアドバイスされています。そして、アジアの国々の視覚障害者にも点字図書作成の指導を行ってきました。

世界のバリアフリー対策の違いについては「ヨーロッパやアメリカは視覚障害に対して全然配慮がないかわりに、目が見えている人たちが手助けをする。日本は手助けをしないかわりに、ガイドラインが決まると皆で守るという国民性です。日本が世界一のバリアフリー国でも、自立した生活を維持していくためには事足りません。最後は周りの人達の目と心です」と田中さん。

これからも点字図書や録音図書の製作をドンドン増やしたいそうですが、それにはボランティアの協力が必要だそうです。

 

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