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特集 猫背は生活習慣病 猫背解消ストレッチ!

猫背矯正マイスター®︎ 株式会社ボディスプラウト・代表取締役 一般社団法人日本施術マイスター養成協会・代表理事  小林篤史

ショーウインドーに映る自分の姿に「猫背になっている?」と思ったことはありませんか。その対策には体操や姿勢矯正サポーターなどがありますが、「猫背は生活習慣病」と言われているので、すぐに元に戻っていませんか。こんな悩みに応えていただくのは、猫背矯正マイスター®︎の小林篤史さん。猫背の原因、効果的な改善方法を教えていただきます。

猫背には4つのタイプがある!!

猫背の大もとの原因は「骨盤」にあります。骨盤の前傾・後傾が原因となって下記のような4つのタイプの猫背になります。

  • 円背型猫背 背中が全体的に丸まっているタイプ
  • 前肩型猫背 肩が前方に出ているタイプ
  • 顔出し型猫背顔が前方に出ているタイプ
  • 首なし型猫背首が見えづらくなっているタイプ
  • 1:体調不良は猫背が原因

    この7年間で私たちの日常生活は大きく変わり、2020年のコロナウイルスの流行はリモートワークや働き方を大きく変化させました。特にスマホやパソコンの長時間使用は首や背中への負担を増大させています。
    私たち人間は他の動物と異なり、重力に抗って立位(まっすぐ立った姿勢)で生活をしています。年齢を重ねるにつれて徐々に背中が丸まってくることは、ある程度仕方がないようにも思います。しかし今、デジタルデバイスの普及により、その若年齢化が進んでいます。

    努力しても猫背が治らない理由

    「正しい姿勢は疲れない」というのは残念ながら、すでに猫背になっている人には当てはまりません。猫背は生活習慣病であり体が長い年月にわたって固定され、猫背の状態を記憶しているからです。猫背が形状記憶され、長年にわたって固定化されると、筋肉だけでなく背骨や骨格までもが“猫背仕様”になっていきます。だから姿勢から意識を外した瞬間、楽な猫背になってしまうのです。
    猫背といっても「ただ背中が丸くなっている」というパターンだけではありません。

    猫背には「背中全体が丸くなるタイプ」「 肩が前に出るタイプ」「顔が前に出るタイプ」、このうちの2〜3つの複合タイプの4つのタイプに分けられます。
    背中が丸まったり、肩が前に出たりするのは結果にすぎません。正しい姿勢を取ろうといくら努力しても定着しないのは、私たちが原因に手をつけずに、結果だけをいじろうとしているからです。その大もとの原因は「骨盤」にあります。

    2:猫背の原因は骨盤の傾きによる

    「骨盤」こそが、猫背をはじめとした多くの体の変化を引き起こす大もとなのです。

    私たちの背骨は、7個の首の骨(頚椎)、12個の胸の骨(胸椎)、5個の腰の骨(腰椎)、仙骨、 尾骨から構成されています。この背骨に連結し支えているのが「骨盤」です。
    「骨盤」は、私たちの体の中心に位置し、上半身と下半身のバランスを保ったり、内臓や生殖器を守ったりするなど、大切な役割を果たしています。しかも 体の中心にあるため、骨盤には非常に多くの筋肉がついています。重要なのは、体の前側と後ろ側の筋肉がバランスを取ることによって、骨盤はまっすぐ立つことができているという点です。

    姿勢が崩れてしまう原因は骨盤にあります

    何らかの原因によって骨盤の前側と後ろ側の筋肉のバランスが崩れて姿勢が崩れてしまうことがあります。

    例えば、

    ・仕事の影響(1日中パソコン作業をしている)
    ・体の使い方のクセ(イスの座り方やハイヒールをはく習慣など)
    ・運動不足
    ・加齢による筋力低下
    ・心理的要因(自信がないなどの心理的影響によるもの)
    骨盤の前側にある大腿四頭筋や腸腰筋がこわばって縮むと、骨盤が前に倒れます。骨盤の後ろ側の筋肉、大臀筋や太もも裏のハムストリングスなどがこわばって縮むと、骨盤が後ろに倒れます。こうして骨盤が前に傾いたり後ろに傾いたりしている状態は自然な姿ではありません。

    骨盤が前や後ろへ傾くと全身のバランスが崩れます
    骨盤が前に倒れたり、後ろに倒れたりした場合、この崩れたバランスを取るため、その影響が体のほかの部位に連動して現れます。
    骨盤が前に傾くとお腹が前に出て、お尻は後ろに突き出ます。姿勢が良い人の場合、S字カーブを描く背骨は、腰椎のところで前に少し反っていますが、 骨盤が前傾すると、その反りが強くなって「反り腰」になります。そして、足は内股や内股気味になる人が多くなります。骨盤が前傾して腰の反りが強くなると、その反動で背中が丸まります。
    一方、骨盤が後ろに傾くと、お尻が引っ込み、腰が丸くなります。足はがに股気味になります。ひざが伸びきらずに、曲がっている人が多くなります。上半身は背中全体が丸くなり、肩が前に出る傾向があります。その結果としてさまざまなタイプの猫背が生じてくることになるのです。

    誰も教えてくれなかった正しい姿勢

    自分の骨盤の傾きで正しい立ち方を確認しましょう 

    私の考える正しい立ち方の条件としては、骨盤がまっすぐに立つことです。

    1. 骨盤の前傾・後傾を確かめる
    2. 前傾の人はお尻を引っ込める/後傾の人はお尻を突き出す

    ※骨盤が前に倒れているか、後ろに倒れているかを確認する基準は、「お尻が出ているか」「引っ込んでるか」だけです。

    骨盤前傾タイプの人は、お尻が出っ張っていますから、下っ腹に力を入れて、お腹を引っ込めます。すると、出ていたお尻も引っ込むでしょう。

    骨盤前傾タイプの人の中には腰痛に悩まされてる人が多いのですが、出ていたお尻を引っ込めると、腰痛持ちの人はその瞬間に腰が楽になったと感じるでしょう。腰痛が起こっていたのは、骨盤が前に倒れることで腰が余分に反り、腰への負担になっていたからです。それが、正しく骨盤を立てることで楽になるわけです。
    骨盤後傾タイプの人の場合、お尻を少し後ろに突き出すようなイメージで立ってください。骨盤が後傾している人は、たいてい立ったとき、かかと寄りに重心がきています。そこで、重心を足全体に乗せるつもりで立つことを意識すると良いでしょう。このお尻を意識するだけで、正しく立つことができるようになります。

    椅子に正しく座る時の姿勢 

    お尻の穴がまっすぐ下に向いている!!

    椅子に座る時にどうすれば正しい姿勢で座ることができるか。そのポイントは1点です「お尻の穴がまっすぐ下に向いているかどうか」です。

    猫背には4つのタイプがある

    骨盤が前に倒れると、正常な状態では前にやや反っていた腰椎(腰の骨)部分の反りがもっと強くなり、反り腰になります。すると、通常よりもよけいに反っている腰椎のバランスを取り戻すために、顔が前に出てくることが多いのです。また、骨盤が後ろに倒れると、背中全体が丸くなったり、肩が前に出てきたりします。

    ストレッチに関する5つのポイント

    • 1日 最低1回は行う
    • 「骨盤のストレッチ」と「猫背のタイプ別ストレッチ」を併用する
    • いつやってもよいが朝昼晩など時間を決めて行う
    • 鏡で背中をチェックする
    • 転倒に注意しながら行う

    猫背のタイプ別ストレッチ
    「円背型猫背」
    「背中が全体的に丸くなっている」タイプです。

    円背型の人は、肩甲骨を寄せる動きを取り入れても、なかなか効果があり上がりません。

    このタイプは、脊椎を構成する一つひとつの骨である椎骨(ついこつ)の動きが悪くなっている傾向があります。しかも、その状態で「形状記憶」されているために、脊椎が丸まったままの状態で固まっているのです。この動きの悪くなった脊椎に有効に働きかけることができるストレッチが、「胸骨持ち上げ」です。

    「胸骨持ち上げ」ストレッチ 

    動きが悪くなっている一つひとつの椎骨に有効に働きかける
    ①胸の中央にペンや割りばしなどを縦に置き、片方の手で押さえる。
    ②息を深く吸う。このとき、ペンが胸と一緒に上がるように胸を広げる。吸い切ったところで10秒キープした後、ゆっくり息を吐く。

  • 猫背のタイプ別ストレッチ
    「前肩型猫背」     
    横から見たときに、肩が前に出ているタイプです。

    前肩型の人は、肩関節の可動域が狭くなっており、腕が上がりません。このタイプの人のストレッチは「肩回し」です。

    「肩回し」ストレッチ  

    • 両肩を後ろに回す。その際、できるだけ大きな円を描くつもりで10秒かけてゆっくり1回回す。

           肩甲骨も同時に動かすことを心がける。

    できるだけ後ろまで肩を回し、最後は力を抜いて両方の肩をストンと落とす。 

    「顔出し型猫背」

    横から見た時に、体と比べて、顔が前に出ているタイプです。頸椎が前方に傾いているのです。
    頚椎がまっすぐになる「ストレートネック」になっているケースが多いです。このタイプにおすすめのストレッチが「顔引っ込め」です。

    「顔引っ込め」ストレッチ  

    • 思いっきり前に顔を出す。

    ゆっくり10秒かけて、正しい位置へと戻す。 突き出した顔を戻していき、胸の上に乗せるようなイメージで行うとよい。

    「首なし型猫背」

    円背型、前肩型、顔出し型の3つの特徴を合わせ持つタイプです。4つの中では、最も重症です。
    肩の大きな筋肉が首にかぶさって、首がなくなったように見えます。この首なし型でもストレートネックになる人と、反り首になる人がいますが。「首なし型で反り首になる人」が最もリスクが高いと考えています。
    他のタイプの人と比べて、なかなか治りにくいのは事実です。胸骨持ち上げ、肩回し、顔引っ込めの3つのセルフケアを毎日根気よく行うことをおすすめします。

  • 日常に潜む「猫背習慣」を見直そう

    ① スマホやタブレットの長時間使用

    ②パソコン作業中の不適切な座り方

    ③ テレビ視聴時のだらしない座り方

    ④悪い姿勢での食事習慣

    ⑤運転中や交通機関利用時の姿勢

    ⑥重いバッグの持ち運び方

    ⑦ストレスや不安による体の緊張

    ⑧家事や趣味での不適切な姿勢

    ⑨日常の立ち姿勢や歩き方

    本の紹介/ 「ねこ背解消ストレッチ」は自分の「骨盤タイプ」「ねこ背タイプ」にあわせたストレッチを1回10秒やるだけ。たった1回でも姿勢が変わるすごい効果を実感してください!  かんき出版 ¥1,650(税込)

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