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特集 目標がなければ頑張れない!! 『リハビリ旅行』のすすめ!

2020.11.11

私たち人間は大なり小なり日々、何らかの目標を持ちながら生活しています。趣味、旅行など計画しながら仕事を調節していくのが一般的です。体が万全であれば目標に向けて、自分で計画していくことができますが、片麻痺や車いすが必要、認知症の症状があるなど、介助が必要な身体状況では介助者とともに目標を設定して進めなくてはなりません。以前、片麻痺の高齢男性から「孫の運動会を見に行くために一生懸命リハビリをしている」と聞いたことがありましたが、生きがいがもてる目標があれば辛いリハビリも頑張れるようです。リハビリを最後まで諦めないで取り組んでほしいと計画されたのが『リハビリ旅行』です。

『リハビリ旅行』とは・・・

『リハビリ旅行』には大きく3つの工程があります。➀旅行前プログラム②旅行中プログラム③旅行後プログラムです。特に➀と②を重要視しており、この点が『介護旅行』と大きく異なる点だと考えます。旅行前プログラム期間は約3ヵ月間。参加者が決めた旅行中の活動(駅の階段昇降、露天風呂に入る、食事を一人で行う等)の練習を行う事が目的。その練習が旅行中の達成感を生み出し、旅行後のADLの向上に効果があるそうです。

★『必要な人に必要なだけ』良質なリハビリを提供する!

リハビリ推進センター株式会社:阿部勉社長

11年前から『リハビリ旅行』を行っているのは、訪問看護ステーションとヘルスプロモーション事業を提供しているリハビリ推進センター株式会社(東京都板橋区)です。その中で取締役の木村英生さん(作業療法士/キャリコンサルタント/産業カウンセラー)が『リハビリ旅行』を企画運営しています。この『リハビリ旅行』の効果を全国各地でも実践してほしいと『リハビリ旅行療法士の養成研修会』も開いています。

理学療法士であり健康科学博士の阿部勉社長は都立病院勤務時代に「病状が良くなって自宅に帰っても、その機能を活かせず病気を再発して再入院される方々を何とかしたい」と、独立してリハビリテーション専門の訪問看護ステーションを設立しました。

今日、一般的になってきた訪問リハビですが、阿部社長は独立当初から「『必要な人に必要なだけ』良質なリハビリテーションを勧めることにより、“夢”を創造し、“夢”を叶えるお手伝いをする」を掲げていました。そのひとつが『リハビリ旅行』です。まさに、この企画が企業の思いと一致した訳です。

★『リハビリ旅行』がスタートするきっかけは

故郷に帰りたいという母のあきらめない気持と努力

11年前に『リハビリ旅行』を始めた木村さんは、13年前60歳のお母さんがガンで都内の病院に入院。千葉県で勤務していた木村さんは入院先へ行きやすい職場として、リハビリ推進センターに就職しました。

余命3ヵ月といわれたお母さんでしたが、「広島の祖父母に会いたい一心で、いつも一人病棟で歩行練習をしている姿を見ていました。そして、広島に帰ったときは病気かどうか分からないぐらい元気で、食事も全部食べていたそうです。しかし、帰宅後しばらくして亡くなりました。最後まで諦めない大切さを、母から学んだ気がしました。そして、最後まで行(生)きたかったんだよねって‥」

在宅で引きこもっている人たちを何とかしたい

また、脳出血により片麻痺になった男性からは「生きている限りは、生きがいを持ちつづけたい」といわれたそうです。病気で倒れると目標が見え難くなるので、目標を探す事は大切な作業です。今出来る小さな事(食べる、起きる、立つ)から始め、小さな旅(トイレに行く、食堂へ行く)へ、そしてその先にあるだろう「生きがい」を一緒に探していくことが大切です。

そして、訪問リハビリにいくと、退院後に引きこもってしまう方が多い印象を受けます。「もういいよ‥」と力の無い声で出迎えられる事も多くあります。

そのような状況をみて『リハビリ旅行』をしようと考えました。頑張って旅行に行きたいという人より、もうダメだと諦めている人を何とかできないかということで、小さな「旅」が始まりました。

 

☆『リハビリ旅行』の計画の流れ

①温泉旅行気分は1時間半程度のところ

東京から電車にも乗って温泉旅行気分になれるのは1時間半〜2時間程度のところ。社員旅行で行った伊豆の稲取温泉がちょうど良い距離でした。

 

②受入れ先の協力旅館がなくてははじはじまらない

初めは稲取温泉に行き、旅館を一軒ずつ廻って受け入れをお願いしました。12年前は「宿泊されるお客さんが障がい者と一緒にお風呂に入るのを嫌がる」といったお話し(心のバリア)や、環境が追い付かない(環境のバリア)という問題がたちはだかりました。そして、稲取温泉観光協会と共同でパンフレットを作り、観光とリハビリ専門の旅行としてプロモーション活動をしてきました。

その後、長野県の昼神温泉郷から一緒に取り組んでいきたいと、お話しがありました。ここでは昼神温泉観光局と共同で、リハビリ旅行プログラムとして、そば打ちやリンゴ狩り、星空ツアー等を企画しました。

その土地ならではの環境(資源)が、リハビリのプログラムとなる。この旅行の醍醐味でもあります。

 

③旅行道中の導線マップづくり

最初の『リハビリ旅行』は2組からスタート。

「旅行に行ってみましょう。そのための練習をしませんか」とお誘いました。

今日では車いすマップがありますが、当時は東京駅から目的地までの導線を全て確認しました。車いすでも移動するので多目的トイレの確認、駅の階段、電車の座席の位置などを測って写真を撮りプログラムを作っていきました。

リハビリ旅行は、バリアありー旅行でもありますので、駅のエレベーターを使用するか、駅の階段を使用するかは、参加者が決定します。その決定内容に基づいて在宅でのリハビリを進めていくわけです。

 

④『リハビリ旅行』の費用

障がいの度合いによって違いますが、人件費として介護度が低い方は1名に対して1.5万円~/1日。高い方は1名につき2万円〜3万円/1日です。ご家族への人件費は発生しません。

※別途、同行スタッフの交通費、宿泊費、食事費等は参加者のご負担となります。

 

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