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愛犬の死からペット葬儀グッズメーカーになる

ライフテースト株式会社 代表取締役 大野 裕さん(55歳)

高齢化になればペット市場も拡大すると、30 年前から紙おむつメーカーは予測していましたが、予想通り2013 年度のペット産業の市場規模は、小売りベースで1兆1851 億円。14 年の飼育頭数は猫が約995万頭、犬は1034万頭。猫は3年連続で増え、犬は3年連続で減少し、15 年には猫の飼育頭数が犬を逆転するとみられています。このペット産業に葬儀グッズが少しずつ浸透してきているようです。大野裕社長も愛犬の死から事業へと参入したそうです。

家庭用品メーカーから新規参入

27 年前に家庭用品のメーカーとして事業展開してきたライフテーストの大野さん。ペットの葬儀グッズを始めるきっかけは5年前、それまで14 年間飼っていた愛犬(シェットランド)が亡くなったこと。さてどうしようかと市に電話すると「市の斎場が使えますよ」という返事。そして「亡骸は段ボールに入れて持ち込んでください」とのこと。

当社は流通業を営んでいるので新品の段ボールで亡骸を運べましたが、他の人はどうしているのかなと疑問を持ちました。帰宅後、ネットで調べてみると「品切れが多い」「商品が届かない」といった書き込みが目立ち、総合的に購入できるきちんとしたメーカーが少ないことに気づいたという大野さん。翌年にヨークシャテリアが亡くなったときには、前の経験からお棺(段ボール)を手配して骨壺も用意し、愛犬を送ることができました。そして事業のきっかけとなったのが社員募集の中に、セレモニーを経験していた人がいたこと。いろんな商品のノウハウを教えてもらうことになったそうです。

ペットはご主人以上の存在家族の一員として供養

総合的なペット用の葬儀グッズとシリーズ化が一昨年。商品は人間と全く同じで、棺桶(段ボール)や中に入れる飾り、動物の死に装束、湯灌セットに骨壺、墓石、仏壇など。

ペットのお見送りセットは棺を含め9,800 円ほど。ペットの写真を加工しレーザーで墓石に彫るのが人気で35,000 円。手元供養する人も多く、骨壺を収納する簡易仏壇もあるそうです。「6 割の方は埋葬しないで骨壺をご自宅に置いておられ、有田焼などの高級品も求めることも。家族の大切な一員だと思っておられるんですね」と大野さん。

家庭用品メーカーがペットの葬儀グッズを販売するようになると、「エーッ??」「いやだーッ」という声もありますが、反対に「これ欲しかった」「こういうものを用意しておかないとね」と反応は上々。3 年後には車での移動火葬や納骨まで一貫した事業計画を立てているそうです。いまや15 歳未満の子供が1,760 万人に対してペットの数が2,520 万。飼育家庭数は1500 万世帯で3軒に1軒の割合だそうですから、ペットの死はより身近になり、新しい葬儀産業になっていくこと間違いないですね。そんな大野さんの健康づくりは、血圧が高くなってきたため、1 年半前から1 日1 万歩365 日、犬と朝の散歩をした後、2k先の神社までウォーキングをしているそうです。1 人で1 万歩は大変ですが、毎日歩き続けられるのも、愛犬がいるからこそですね。

プロフィール

ライフテースト株式会社 代表取締役 大野 裕(おおの・ゆたか)さん(55歳)

 現在ご夫婦と長男の3 人暮らし(子供は息子3 人、娘1 人)。 大野さん自身は馬が大好きで騎手になることが夢だったそうですが、目が悪くて断念。 その夢を次男が引き継ぎ、いまは競馬騎手として活躍しているそうです。 血液型はO 型。好きな言葉「有言実行」。

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