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知ってますか? 認知症 ⑥

2020.09.19

川崎幸クリニック 杉山孝博院長

食後に、「たべてない!」

割り切って柔軟な対応を

認知症の人は、ある時期、異常な食欲を示すことがある。そのようなとき、食べた直後に「まだ食べていないから、早くご飯を用意しろ」「食事をさせないで殺すつもりか」などと言って、食べ物を要求する。

家族は、「食べていない」という本人言葉が理解できず、「今食べたばかりでしょう。これ以上食べると、おなかをこわすから駄目よ」「夕方まで待ちましょうね」と説得に努めるが、本人は納得しないばかりか、ますます興奮する。

このような症状に振り回されている介護者が少なくない。異常な言動をどのように理解し対応したらよいか考えよう。

過食の時期は―人分を食べても空腹感が残っていて、しかも細かい献立の内容を忘れるだけではなく、「食べたこと」を忘れる。「記憶になければ事実ではない」「本人の思ったことは本人にとっては絶対的な事実である」という原則のため、食べ物を要求するわけだ。

「食べていない」という本人の思い込みを認めて、「今、準備しているから少し待っていてね」「おなかがすいたのね。おにぎりがあるからこれを食べてね」と対応した方がうまくいく。

それでも本人が納得しなければ、もう一食食べさせてもよい。この時期には二人前を一度に食べてもおなかを壊すことも太ることもないから安心して食べさせればよい。

不思議に思えるかもしれないが、動きが非常に活発でエネルギーの使い方が多い、栄養の吸収の効率が悪いと考えれば、異常な食べ方ではなく、必要なカロリーを摂取しているにすぎないと思えるだろう。

いずれにしても体の動きが少なくなると、確実に食べなくなる。認知症がさらに進行すると物を飲み込むことができなくなり、食事の介護に1時間も2時間もかかるようになる。

そうなったとき、介護者は、かつての過食のころを思い出して、「あのときは、自分一人で食べてくれたし、服を着ることも風呂に入ることも自分でできていた。病気もしなかった。よく考えればあんな楽なときはなかったな」と思える。

夜中に台所で音がするので、見に行ったら、過食の時期の本人が食べ物を探し回っていた、食べ物を隠せば隠すほど、一晩中探し回るので家族はよく眠れないという相談を受けることがある。

食卓に食べ物を置いておけば、それを見つけて食べるので、早く寝てくれるものだ。

早くから正しい知識をもつと介護は楽になるものである。

 

 

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