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特集  最期まで自分の足で歩くために! 自分の『足』を観察しよう!

神奈川県:湘南あしケア訪問サービス 代表取締役 中西 薫さん

自分の足で行きたいところへ行けることは、とても大切です。そのためには筋力をつけることだけでなく、足そのものの状態を日頃から確認することも重要です。巻き爪や外反母趾、肥厚爪(ひこうそう)などに、いつの間にかなってしまい、足の痛みやトラブルで歩けなくなることもあります。

こうした症状は、長い時間をかけて少しずつ進行することが多いため、自分の足の変化をいち早く察知し、早めに対処することが大切です。

しかし、どこに相談すればよいのかわかりにくいのが現状です。一般的には、巻き爪や肥厚爪は皮膚科、外反母趾は整形外科の受診が勧められています。ただ、痛みのない初期の外反母趾で受診する人は少なく、整形外科を受診しても、重度でなければ積極的な治療が難しいケースも多く、症状が進行すると手術が必要になることもあります。

今回は、高齢者施設でフットケアを専門に行っている湘南あしケア訪問サービスの中西薫さんに、正しい爪の切り方やフットケアによる予防法、さらに自分でケアが難しい場合に利用できるフットケアサービスについて伺います。

足に関心・興味を持って観察してください!!

中西薫さんはフットケアを学び、2008年から介護施設でボランティアによるフットケアの施術を始めました。そこで、高齢者に足のトラブルが非常に多いことを実感し、2009年に「湘南あしケア訪問サービス」を立ち上げたそうです。

現在は、神奈川県内を中心に高齢者施設でフットケアサービスを行っています。訪問フットケアサービスを始めた当初は、「フットケア」という言葉自体があまり知られておらず、「爪切りにお金を払う」ということへの利用者の抵抗感も強かったといいます。

そのような中、「あなたのやっていることは素晴らしいことです」と、(一社)伸こう福祉会の創設者・片山ます江さんが理解を示して、2009年から施設利用者へのフットケアが始まりました。

その後、高齢者のフットケアは少しずつ広がってきましたが、現在もまだ十分に認知されているとは言えません。そのため中西さんは、「まずは自分の足に興味を持ち、日頃から観察してほしい」と話します。

中西さんの祖母は102歳まで元気に過ごされていたそうですが、「最期まで、トイレだけは自分の足で行きたい」と話していたといいます。

「自分の足で歩ける」ということは、生活の質や尊厳にも深く関わっています。その第一歩として、まずは自分の足をよく見ることが大切なのかもしれません。

 

『足』のトラブルを予防する方法

湘南あしケア訪問サービス 代表取締役 中西 薫さん

靴の選び方や履き方に注意する

私たちは毎日使っている足ですが、トラブルがなければ無頓着になりがちです。

日頃から足のトラブルを防ぐために、足の爪や指の間までしっかり洗い、きちんと拭いて水分を拭き取ってから、保湿クリームを塗ることをお勧めします。

そして、自分の足に合ったサイズの靴を選んで履くことが大切です。ぶかぶかの靴や、かかとを踏んで歩いている方もいます。実は、自分の足に合った靴を選ぶこともフットケアの一つです。まずは足元を整えることから始めましょう。

また、正しい靴の履き方を知らない方も多いそうです。かかとを靴の後ろにしっかり合わせて履き、つま先には1cmほど余裕を持たせましょう。指が軽く動かせるくらいの余裕があるのが理想です。

  足を観察する6つのポイント

まず大切なのは、「自分の足に関心を持つこと」です。

体を洗う際、足の爪や指の間まで丁寧に洗い、清潔に保ちましょう。入浴後や足浴後には保湿クリーム(市販のものでかまいません)を塗りながら足を軽くマッサージすると、血行が促進され、肌を外からの刺激や乾燥から守ることができます。

このとき、爪や皮膚に気になることがあれば、皮膚科に相談しましょう。

また、外反母趾などは整形外科の領域ですが、多くの人は親指の付け根が出っ張ってきても、痛みがないうちは受診しません。整形外科では、足のアーチの崩れが原因と考えられ、靴やインソールのアドバイスを受けることもあります。しかし実際には、「長距離を歩けなくなった」「痛みが出てきた」といった段階で受診するケースがほとんどです。日頃から観察していれば、もっと早く気づけるはずです。

高齢者の足の観察からわかる初期症状

足の観察からわかる認知症の初期症状

足の状態は、介護者が気づける大切なサインでもあります。

1.左右でデザインの違う靴下を履いている
・・・確認ができていない? 気にならなくなっている?

2.靴下が汚れている、臭いがする
・・・洋服や下着をきちんと替えられているのか、確認が必要かもしれません。

これまで身だしなみに気を配っていた方が、急に関心を示さなくなった場合は注意が必要です。

3.靴の中に異物が入っている
・・・実際にティッシュペーパーが入っていたケースもあるそうです。

その他の観察ポイント

4.痛み・かゆみ・しびれ・冷え感など、本人に異常な感覚がないか確認する。

特にかかとは、見た目に異常がなくても、血行不良や圧迫によって痛みが生じることがあります。放置すると褥瘡(じょくそう)につながる恐れもあるため、本人にしっかり聞き取ることが大切です。

5.むくみは毎日観察する中で、急に強くなった場合、体調不良のサインである可能性があるため注意が必要です。

異常を発見したら

6.医療機関の受診が必要か、施設や訪問看護師で対応可能か、または専門家によるケアが必要かを検討します。

7.「水虫」「むくみ」「足爪の変形」など、高齢者によく見られる症状でも、「高齢だから仕方がない」と介護者の判断だけで放置するのは危険です。

小さな変化も見逃さず、早めに専門家に相談することが大切です。

足の爪 正しい切り方

在宅で家族の介護をしている方も、足や爪を清潔に保ち、日頃から観察することがフットケアの第一歩です。「正しい足爪の切り方」を参考に、ケアを心がけましょう。

 

介護施設での爪切りについての疑問に答えます!

湘南あしケア訪問サービス

Q1:介護施設では、介護職がニッパーを使ってはいけないというルールがある施設もありますが、本当にそうなのですか?

A:「ニッパーは危険だから介護職には使えない」と考えている施設もありますが、「ニッパー型爪切りの使用を禁じる」法律はありません。多くは施設独自のルールによるものです。ただし、適切な知識と技術を身につけた上で使用することが大切です。

Q2:厚労省の通達にある「爪周りに異常がない」とは、どのような状態を指すのでしょうか?

A:「異常がない」とは、爪周りの皮膚に炎症・化膿・発赤・腫れなどの症状がない状態を指します。ケアを行う前には、爪や爪周囲の状態をよく観察・確認することが大切です。

なお、湘南あしケア訪問サービスは、サービス提供の手続きについて経済産業省を通じて厚労省に申請を行い、「医療行為には当たらない」との確認を得ています。

 

Q3:巻き爪や変形爪は「異常」に当たるのでしょうか? ケアしてもよいのでしょうか?

A:爪の形状がどのようであっても、炎症などの症状がなければケアは可能です。ただし、巻き爪や変形爪はケアが難しく、十分な知識と技術がないまま行うことは危険です。難しいと感じた場合は、無理をせず専門家に相談しましょう。

足のケアが丁寧な施設ほど、専門的なフットケアへの関心も高い

湘南あしケア訪問サービスは、神奈川県を中心とした高齢者施設でフットケアサービスを行っています。在宅で利用を希望される場合は自費サービスとなりますが、訪問看護師やケアマネジャーに相談することで紹介してもらえる場合もあります。

一方で、湘南あしケア訪問サービスのようなフットケアサービスの存在を知らない施設はまだ多くあります。実際には、高齢者の爪や足のトラブルに困っている施設も多いです。しかし、足のケアに関心を持つ施設も確実に増えています。

たとえば、入浴介助の際に足の指の間まで丁寧に洗っている施設ほど、スタッフの足への関心が高く、専門的なフットケアへの意識も高いと感じます。

費用や内容については施設スタッフがご家族に説明し、利用につなげていただいています。

これまで「何とかしてあげたいけれど、どうすればよいかわからない」と困っていた施設でも、フットケアサービスを導入することで、「専門家にお願いすればいい」という安心感から、スタッフの負担が軽くなったケースもあります。

フットケアは認知症予防になる?!

足は大切なバランス感覚器

これは医学的に証明されたものではなく、20年近く高齢者と接してきた私自身の経験と考えをお伝えします。

日頃の観察の中で、「歩く速度が遅くなった」「靴下の左右が違っている」「靴下が汚れている」といった変化が、認知症の初期サインである可能性があります。

不安な心は、体の不安定からくる 

体の安心は、足元の安定にある

認知症の原因は、まだはっきりとは解明されていません。原因は一つではなく、複数の要因が重なっているのではないかと感じています。

また、多くの認知症の方は、大きな不安を抱えているように見えます。不安の内容も、お金、家族、身体のことなどさまざまです。その中で、「不安な心は、体の不安定からくるのではないか。安心は、足元の安定にあるのではないか」ということも、一つの要因ではないかと考えています。

バランス感覚が衰え、安定した姿勢を維持できなくなると、体のさまざまな部位に無理な力が入り、常に緊張した状態になります。その結果、心が休まらず、体にもさまざまな不調が現れることがあります。体と心はつながっており、足と脳もまた、深く関係しているのではないかと感じています。

認知症予防には適度な運動が効果的だとされています。しかし、不安定な足元での運動は、かえって緊張を高め、逆効果になる可能性もあります。安定した姿勢で安心して動けることが、認知症予防にもつながるのではないかと考えています。

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