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特集 長生きより「心身ともに健やかでいたい」時代へ

NTTデータ経営研究所による「健康に関する『意識・関心』、

 健康観の実態調査」の紹介(引用・一部改変)

「長生きしたいですか?」と問われたとき、今までは多くの人が「はい!」と答えたかもしれません。しかし今は、「できるだけ長く生きること」よりも、「心も体も元気で、自分らしく過ごせる時間を長く持ちたいです」と答える人が増えています。

NTTデータ経営研究所が2024年7月に実施した調査においても、そんな現代人の“健康観の変化”が「いつまでも健康でいたい」「安心できる居場所があると感じる人は、健康寿命ニーズが高くなる」といった傾向がはっきりと浮かび上がってきました。

今回は同調査内容の一部をご紹介いたします。

【調査結果の主なポイント】

1.「いつまでも生きたい」よりも「いつまでも健康でいたい」と考えている人が多く、性年代によって傾向が異なる

2. 安心できる居場所があると感じる人は、健康寿命ニーズが高くなる(長く健康でいたいと思う)傾向がみられる

3.「家庭」を安心できる居場所と感じる人は健康寿命へのニーズが高まる一方、「インターネット空間」を安心できる居場所と感じる人は健康寿命へのニーズが低くなる傾向がみられる

 

健康に関する『意識・関心』『健康観』の実態調査 ①

【背景】「人生100年時代」を迎える健康の社会的決定要因とは

世界保健機関(WHO)が2024年に発表した統計によると、日本人の平均寿命は84.46歳で世界第1位、健康寿命も世界第2位であり、日本は最も健康的かつ長寿の国の一つです。

しかし、同年の厚生労働省の調査では、2005年以降、自身の健康状態を「よい」と感じる日本人の割合が年々減少していることが明らかになっています。さらに、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の国際比較調査(2023)では、日本人のヘルスリテラシー自己評価が、日本・アメリカ・イギリス・オーストラリア・中国・フィンランドを含む6カ国中で最下位となっています。

これらの結果から、日本は長寿である一方、自身の健康状態や医療・健康情報を正しく判断し、適切に選択・行動する点で課題を抱えていることが浮き彫りになっています。

こうした背景には、「人生100年時代」を迎えた現代社会において、社会経済の変化、新型コロナウイルス感染症の流行、単身世帯の増加、働き方の多様化、そしてインターネット普及による人間関係の希薄化など、多様な要因が関与していることが考えられます。そこで「健康の社会的決定要因」を踏まえた施策を検討する際のヒントを見いだすことを目的に調査および分析を実施しました。

 

下記のよう内容で作成します

日本人の「健康観」推移(2005~2024年)

平均寿命は延びても、「自分の健康に自信がある」と感じる人は減少しています。健康意識と実感のギャップが拡大中です。

  • 2005年:約66%
  • 2010年:約62%
  • 2015年:約58%
  • 2020年:約55%
  • 2024年:約51%
  •  (厚生労働省「中高年者縦断調査」より:どーも作成)

【主な調査結果・考察】

1.「いつまでも生きたい」よりも「いつまでも健康でいたい」と考えている人が多く、性年代によって傾向が異なる

日本人の肉体的、精神的、社会的健康(以下、「各種健康」)への関心、各種寿命ニーズ(肉体的健康、精神的健康、社会的健康、労働、寿命)について調査を実施しました。

その結果、各種健康への関心は男性よりも女性の方が高く、年代が上がるにつれて関心が高まる傾向が確認されました。また、希望する寿命(寿命ニーズ)は86.5歳、肉体的、精神的、社会的に健康で過ごしたい年齢(健康寿命ニーズ)はそれぞれ90.3歳、94.9歳、87.6歳となりました。これにより、「いつまでも生きたい」よりも「いつまでも健康でいたい」と考える人が多いことが明らかになりました。

特に20代ではこの傾向が顕著である一方、30代では「長く生きたくない」「あまり健康でいたくない」と感じる人の割合が相対的に高い傾向が確認されました。

「いつまでも健康でいたい」健康寿命について

厚生労働省の調査「年代階級別の死因」(2022)において20~29歳および30~39歳の死因第一位が「自殺」であることから、20代においては「いつまでも長く健康でいたい」という願望を阻害する別の要因が存在すると考えられます。

一方、30代における「長く生きたくない」「あまり健康でいたくない」という意識が自殺に直接結びついているとは断定できないものの、健康寿命ニーズや寿命ニーズの低さに影響を与える要因についてさらなる分析が必要であり、これらの課題に対応するための効果的な対策の検討が急務であると考えられます

健康に関する『意識・関心』『健康観』の実態調査結果 ②

2. 安心できる居場所があると感じる人は、健康寿命ニーズが高くなる傾向がみられる

孤独・孤立感の経験有無と健康観(各種寿命ニーズ)、および安心できる居場所の有無と健康観との関連性について調査を実施しました。

孤独・孤立感は「人との付き合いがないと感じた経験」「取り残されていると感じた経験」「他の人たちから孤立していると感じた経験」を基準とし、また安心できる居場所については「家庭(自宅)」「インターネット空間」「職場」「学校」「地域」の5項目を設定しました。

その結果、上記の孤独・孤立を感じた経験がある人は、社会的健康寿命ニーズや寿命ニーズが低い傾向がみられる一方で、孤独・孤立を感じた経験がない人は、これらのニーズが高い傾向が確認されました。

さらに安心できる居場所がある人は、ない人と比較して肉体的、精神的、社会的健康寿命ニーズがそれぞれ5.3歳、8.2歳、4.9歳、寿命ニーズが6.9歳高いことが分かりました。

3.「家庭」を安心できる居場所と感じる人は健康寿命へのニーズが高まる一方、「インターネット空間」を安心できる居場所と感じる人は健康寿命へのニーズが低くなる傾向がみられる

安心できる居場所の種別傾向、居場所や生活満足度(収入、仕事、社会的つながり、行政施策、心身の健康)が個人の健康観に与える影響について調査を実施しました。

「家庭」が最大の安心できる場所

調査の結果、孤独・孤立の経験有無に関わらず、「家庭」を安心できる居場所と感じる人は約7割と最も多く、健康寿命ニーズが最大で7.1歳高い傾向が確認されました。

一方で「インターネット空間」を安心できる居場所と感じる人は、健康寿命ニーズが最大で6.2歳低い傾向が確認されました。

さらに、孤独・孤立を感じた経験がある人ほど、「インターネット空間」を安心できる居場所と感じる傾向が強く、孤独・孤立を感じた経験がない人は「家庭」「地域」「職場」を安心できる居場所と感じる傾向がみられました。

また、収入や仕事、行政施策などの満足度が低い(不満がある)人は、寿命ニーズをはじめ、健康寿命ニーズが低い傾向が確認されました。

これらの結果から、実社会における「家庭」「地域」「職場」などでの心理的に安心できる居場所や「収入」「仕事」「行政施策」といった社会経済的要因が、個人の健康観に大きな影響を与えていることが明らかになりました。

特に、対面でのつながりが感じられる「家庭」などの居場所は健康寿命ニーズにポジティブな影響を与える一方で、「インターネット空間」はネガティブな影響を与えることが確認されました。そのため、個々人の健康観の醸成や社会的孤立の軽減を図るためには、顔の見える関係性を感じられる居場所を構築する施策が必要であると考えられます。

【結論・今後について】

「いつまでも生きたい」よりも「いつまでも健康でいたい」価値観

本調査の結果、性別や年代により異なる傾向はあるものの、全体として「いつまでも生きたい」よりも「いつまでも健康でいたい」という価値観を持っている人が多いこと、社会経済的な生活への満足度や孤独・孤立に関連する要因が健康観に影響を与えることが明らかになりました。

健康観は、個々人のヘルスリテラシー向上のみで支えられるものではなく、周囲の社会経済的な環境整備に支えられながら醸成され、実現されるものだと考えます。つまり、個人の努力を基盤としながら、健康増進施策や介護・福祉施策、社会経済全体の対策を連携させた体制を構築することで、私たちの健康と生活を支える仕組みを整えることが重要です。

2024年12月に発表した「『孤独・孤立』に関する認知度・イメージ、意識・関心の実態調査」も踏まえ、専門職に限らず地域における“自然発生的な”サポーターを発掘し、ネットワークを構築することが「社会的なつながり」の維持に重要であり、個々人の健康観の醸成にも寄与する可能性が期待されます。また理化学研究所の研究(2024)では、若年層において対面コミュニケーションが精神的健康にポジティブな影響を与える一方で、一対多のソーシャルメディアなどのオンラインコミュニケーションが孤独感を増加させる傾向が明らかにされており、若年層をはじめとし全世代を対象にした、顔の見える関係性を感じられる居場所づくりを推進する施策やソリューションの重要性が示唆されています。

これらの示唆を活かして、「いつまでも生きたい」という価値観に加えて、「いつまでも健康でいたい」という価値観の実現に寄与できるよう、健康の社会的決定要因を考慮した新たなヘルスプロモーションの在り方や推進する施策・ソリューションの検討を目指します。

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