48歳からの華麗な生き方・老後をサポートする

撫でることで双方が癒やされる!

認定NPO法人 日本セラピューティック・ケア協会 理事長 秋吉美千代さん(77歳)

20年ほど前に、スウエーデンの施設でお年寄りの手をオイルマッサージしてあげるという療法を視察したことがありますが、イギリスの「セラピューティック・ケア」は、服を脱がない、オイルをつけないタッチングによるケア。このケアをイギリスで学び日本に広めている秋吉美千代さんは、いまでは地元の小中学校生にもボランティアのツールとして福祉体験授業で教えているそうです。その普及にかける思いを伺いました。

セラピューティック・ケア=治療力のある介護

「セラピューティック・ケア(Therapeutic Care)」は、「治療力のある介護」と直訳されています。日本では昔ながらの「手あて」のようなものです。秋吉さんがセラピューティック・ケアを習い、普及させる原点となったのは、35年間の義母の介護経験とお世話になった施設への恩返しだといいます。

「結婚して1年後に中途失明の義母を在宅で介護していましたが、やがて認知症を発症。介護は35年続き、90歳で見送ることになりました。私は57歳になっていました。義母を見送ったあと赤十字奉仕団を立ち上げ、お世話になった福祉施設に恩返しをと美容ケアのボランティア活動に6年間取り組みましたが、そのケアがお年寄りの心のケアになっているのか、施設にとって迷惑ではと思うようになり、60歳になった1999年に美容ケアの母国イギリスの赤十字社の門を叩いたのです。それがセラピューティック・ケアとの出会いでした」セラピューティック・ケアとはどのようなケアか、秋吉さんに説明していただくと「『肩と首』『手と腕』『足首~脚』を1秒間に5㎝、ビロードをなでる(エフルラージュ)ようにして手の温もりを通してケアします。手のひらで一定の圧でなでることで愛情ホルモンのオキシトシンが出てストレスや緊張が緩和され、癒やされます。実際に、行う人自身も癒やされるというデータも出ています」もうひとつはこねる(ニーディング)という手法で、日本で言う経絡のツボを押さえるような形です。

セラピューティック・ケアの施術は、1回あたり30分くらいまでを限度にします。それ以上行うとお互いが疲れるからです。

人に触れて笑顔、エネルギー貰っています

秋吉さんはセラピューティック・ケアを普及させるために2005年にNPO法人を立ち上げ、日本全国の施設に訪問ボランティアを派遣するほか、人材育成や普及啓発にも力を入れ、また東日本大震災で被災した人たちにも

このケアを届けました。協会の活動が県に認められ認定NPO 法人として

認定され、「次世代の人材育成をしていきたい」と小中学校でも教育を実践。まず両親からケアを行うよう指導しているそうです。

そんな秋吉さんも気づけば77歳。健康づくりは10年前からラジオ体操を日課に、規則正しい生活を心がけているそうですが、「人に触れて笑顔、生きるエネルギーを貰っています」とこのケアが一番の健康づくりになっているそうです。

プロフィール

秋吉美千代(あきよし・みちよ)さん1938 年 佐賀県生まれ。

日本セラピューティック・ケア協会を2005 年に設立し理事長に就任。         佐賀女子短期大学・非常勤講師や多くの学会会員

家族は夫婦と3 人の子供(男2 人、女1 人)。血液型はO 型

好きな言葉「ありがとうございます」

認定NPO 法人 日本セラピューティック・ケア協会 http://therapy-care.net/

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