あなたの『終の住処』はどこですか?!〈連載20〉
元気なうちから『遺言書』を書いておこう!
遺言を書くことは強く生きること!
これまでに『家族信託制度』や成年後見制度を含めた『高齢者等終身サポート』サービスを紹介してきましたが、自分の意志を『遺言書』に書いておくことは、在宅でも施設にいても、あなたがどのように生きてきたのか、死後どのようにして欲しいのか、『遺言書』を書くことであなた自身の気持ちをまとめることができ、前向きに生きることにもなります。
費用をかけずに遺言書が書けるツール
『90分で遺言書』「9マスユイゴン®」
『遺言書』を書いてみようと思っても、どのように書けば良いのかわからない。弁護士や行政書士、公証人役場に依頼するにも費用がかかる。そんな時に出会ったのが行政書士の塩原匡浩さんが「遺言書の一番簡単な書き方を世の中に広めたい」と書かれたのが『90分で遺言書』「9マスユイゴン®」の本です。
この「9マスユイゴン®」では資産を残す遺言だけでなく、遺言書の作成をきっかけに自分の人生の棚卸しと脳内の整理ができる。しかも法的効力のある遺言書が簡単に書けるツールになっています。
『90分で遺言書』「9マスユイゴン®」
『90分で遺言書』をダイヤモンド社(1400円+税金)から出版。
著者:塩原匡浩さん/あんしんステージ法務・福祉事務所代表
行政書士・社会福祉士・宅地建物取引士。
遺言・相続・成年後見業務に特化した「あんしんステージ法務・福祉事務所」代表。
A4一枚日記感覚で書ける
自筆証書遺言の要件は4つだけです。
①自分の字で書く ②日付を書く ③名前を書く ④印鑑を押す。印鑑は実印でなくて三文判でもかまいません。実はそれで法的効力がある「遺言書」ができます。
まずシートに「第一条」「第二条」と相続について列記します。これが実際に法的効力を発揮する「本文」の部分です。
その下に、写真のように9マスの枠があります。これは、遺言でいうところの「付言」にあたります。中央の1マスにタイトルを書き込み、日付を記します。周りの8つのテーマを心の赴くままに自由に設定して書き込みます。
最後に日付、住所、名前を記入し、印鑑を押せば完成です。
公正証書遺言を作成する場合にも、この「9マスユイゴン®」を使ってあらかじめ整理するのもひとつの方法です。
9つのマス目ごとにテーマを決めて書き出していくと、自分にとって何が大切なことなのか、自分の人生の全体像とその優先順位を再確認することができます。
「遺言書」の種類は3種類です
Q:「遺言書」の種類は何種類あるんですか?
塩原:「遺言書」には図のように自筆証書遺言、公正証書遺言と、秘密証書遺言の3種類があります。現在よく使われているのが公証役場を利用して書かれた公正証書遺言と、自分自らが書く自筆証書遺言です。
令和2年に創設された法務局の「自筆証書遺言書保管制度」は、亡くなった多くの人に遺言がない現状に対して、相続争いが多いことから遺言作成の新たなきっかけとなり、そのハードルを下げてくれました。
また、「遺言」は15歳から誰でもできる法律行為ですが、そのこともあまり知られていないようです。日本人にとって遺言は、あたかもサスペンス劇場で出て来る死に近いイメージがあり、あまり自分事として向き合いたくないのかもしれません。
『90分で遺言書』書籍から「遺言形式の比較マトリックス」引用
一番簡単な「自筆証書遺言」
Q: 法務局の「自筆証書遺言書保管制度」ができたので、遺言書を書こうと思いましたが、いろいろな書類が必要で結構手間だと二の足を踏みました。
塩原:「遺言書」について難しく考えすぎです。
あなたの目的が「遺言書」を作りたいのか、その「自筆証書遺言書保管制度」に沿ったものを作りたいのかでは、全くそのプロセスが異なります。
法務局の「自筆証書遺言書保管制度」は「自筆証書遺言」に住民票や財産の書類等の添付は必要ですが。私はこの「自筆証書遺言」をA4一枚に書いて法務局へ届出し、受理されました。
「自筆証書遺言」は基本的には自分自身で保管し、亡くなった時に初めて効力が発生するものです。「遺言書」があれば、「最後の自分の意志」を実現でき得る可能性が高くなり、あるのとないのでは遺された方々への効用が全く違います。
「自筆証書遺言」を書くだけなら、①自分の字で書く、②日付を書く、③名前を書く、④印鑑を押すの4つの要件を満たしていれば、「遺言書」として効力を発生させることが出来ます。
いままで日本の社会で法律に関わってきた人達が「遺言書」に関して、簡単に誰にでも分かり易く説明してこなかったことも、「遺言書」が難しいという印象を植え付けて来たのかも知れません。私はこんなにも人生に役立つ「遺言書」というツールの書き方が、実はとても簡単なのだと証明するために『90分で遺言書』を出版しました。
「9マスユイゴン®」
感謝の気持ちを「付言」に記す
Q: 「自筆証書遺言」に書き出す「9マスユイゴン®」は新しい発想ですね。
塩原:遺言の法的効力のある部分「本文」が身体だとすると、「付言」は心の部分だと思います。この「9マスユイゴン®」は法的効力がない部分ですが、私は自分自身の生き様や、大切な人への感謝の気持ちや生前言えなかったメッセージを「付言」という形で書くことが出来ると多くの方々に知って頂きたいのです。
自筆証書遺言としての「9マスユイゴン®」に書き出すのは図のように8つのマスですが、その前にそれぞれ8つのマスに同じように8つ深堀した内容を書き出します【①選択する】。8×8ですから64を書き出して【②展開する】、それぞれのジャンルの中で一番大切なものを抽出して、8つに凝縮したものを書き出します【③凝縮する】。この3ステップのプロセスこそが、自分自身を見つめていく手立てです。何が大切で何が思い込みだったかということが分かってくると思います。
自分の想いを「付言」という形で残すことで、遺された家族間で争いが起こらないよう「付言」でくい止めるわけです。この発想やそれを実現するツールがいままで世の中になかったので、私は世の中にあらたな遺言のカタチ「9マスユイゴン®」を提唱したのです。その甲斐あってか、私の事務所に「遺言」作成を依頼された方々での争い〔争族〕は、今まで一件もありません。
『90分で遺言書』書籍から「付言作成3つのステップ」引用
「遺言」で自分自身が客観的に見れる
Q: 講演や企業研修で「遺言」について話されていますが、参加された方の反応や相談依頼は何歳くらいの方が多いですか。
塩原:「自分が死んだことを前提にものを考えてみましょう」という企業研修もあるぐらいなので、若い人が興味を持つことも理解できますし、実際その研修や体験を通じて、自分が客観的に見れるようになったという話も聞きます。
「遺言」を書くことは、あなたにとって有益なツールを活用することであると言えます。実際に私は、「遺言は自分自身への将来の手紙である」というお話をさせて頂いています。その話に共感・共鳴した人たちにとっては、20代であろうと40代であっても、年齢に関係なく遺言を作るという習慣を持つと、「非常に人生が有意義になりました。生きる意味が少し分かったような気がします」と話されます。
中には、自分には財産がないからとか、家族は仲がいいからと理由をつけて話を聞きたがらない人もいますが、私は『遺言を書くことは生きること』と話しています。これは、これから更に強く生きるために「遺言」を作成する、人生への前向きなアプローチです。
思った時が「遺言書」を書く時
Q: 若い方が「遺言書」を書くきっかけはどのような時ですか。
塩原:私は思い立った時が、「遺言書」を書くタイミングだと言っています。結婚や就職、子供が生まれた時など人生の節目だったり、誕生日とか新年など気持ちが改まった時に作る人もいます。まずそのタイミングで、まるで日記を書くかのように「遺言書」を書く習慣を始めて欲しいです。
一般の方は、「遺言書」に対して骨肉の争いのようなマイナスなイメージをお持ちだと思います。そういう争いを防ぐものとしての「遺言書」を捉えているのかもしれませんが、私は自分を見つめ直すきっかけとして、簡単に作れる自己啓発ツールであるとも思っています。






