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372万人の技能士の社会的地位向上と後継者の育成に取り組む!!

(一社)全国技能士会連合会会長 大関 東支夫さん

 敗戦国の日本がいち早く復興できたのは優れた日本の物作りにあったといわれます。現在その物作りに携わる現職の技能士は372万人いますが、職人の減少は深刻。東日本大震災や台風等で住宅等倒壊が起き復興予算はついたものの、地元の大工、瓦葺き、畳職人が足りず元の住宅に戻すには何年もかかります。「このまま技能士が足りない状況が続けば国土、国民すら守れなくなる」との危機感から、マイスター制度等を活用し、後継者の技能伝承と育成、技能士の社会的地位向上に全力を注いでいる大関東支夫さんに現状をお聞きしました。

日本には衣食住工の約200職種の技能士がいます。現職の技能士は372万人。そのうち全国技能士会加盟の会員は約10万人です。

職人の現状について大関さんは「技能検定合格者は600万人以上いますが、その職種に就いている人は372万人と少ない。昔は弟子入りして10年ぐらい頑張れば、親方が必要な道具を揃えてお店を出してくれました。今はそれだけ面倒をみられる親方も少なくなり、安い給与で辛抱できる若者もいません。時々職人の巧みな技の作品に惚れ込んで弟子入りする若者もいますが、極例外です。中でもとび職や大工、左官など建設業に携わる職人の減少には国も危機感を感じており、育成してくれる親方や会社には一人月5~10万円の育成資金を出すようになりました。

この他、樽作りや桶作り、京都の高瀬舟や仙台の和船づくり。越前の竹細工職人など、絶滅の危機にある職種もあります。

問題点としては、技能検定等技能者認定は厚生労働省。育成は個人親方や訓練校。専門学校は文部科学省。活用は国土交通省、経済産業省と縦割り行政で一貫した政策ができていないことです」

 マイスター制度で後進育成

日本の技能の伝承と後進の育成を行うために平成15年度に『全技連マイスター制度』を創設。マイスターに認定されるには20年以上の実務経験と優れた技能及び活動実績が必要です。そのマイスターが全国各地で活動しています。

「マイスターの匠の技を使ってメイドイン○○といった地域特性品を作ったり、現地でなければ食べられないような地元料理を作れば、人々は観光に訪れる。技能士もその地域で生活できるわけです。

私どもでは学校から要請があればマイスターを派遣して、子ども達に木工制作や室内装飾体験などをしてもらいます。物作りに興味を持ってくれる子供たちが出てくればいいな」と大関さんは期待します。

厚生労働省は、主要約70職種の技能向上を図るため『技能五輪全国大会』(23歳以下を対象)を毎年開催。同会でも各職種の日本一を決める『技能グランプリ』を開催しているそうです。

大関さんは現在77歳。多くの組織団体の役職に就いていますが、健康そのもの。東京オリンピック開催後には『技能五輪』を東京で開催予定。老害、嫌老と言われないように気を付けて、3年後80歳まで技能士の経済的地位と社会的地位向上のためにさらなる知恵を注いでいくそうです。

 

※『技能五輪全国大会』は2020年11月3日愛知県で開催。

『技能グランプリ』は2021年2月19日愛知県で開催。

「技能五輪全国大会」は2021年11月17日東京都で開催予定。

 

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