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困った介護 認知症なんかこわくない②

2015.12.25

川崎幸クリニック 杉山孝博院長

ぜ認知症なるのか認知症の種類

認知症になる原因はいろいろありますが、病気の場合と入院・入所や転居など環境の変化によるものなど二次的な要因でなる場合もあるようです。

アルツハイマー型認知症

神経細胞の数が少なくなり、細胞の働きが衰えるなど脳が萎縮して起きるのがアルツハイマー病やアルツハイマー型認知症です。老化という現象と深い関係をもっていることは十分予想できますが、詳しいメカニズムは明らかになっていません。初期の段階であれば記憶力を改善する薬(アリセプトなど)が使われるようになりましたが、脳の萎縮そのものを治すものではありません。認知症が進行すれば1〜2年で薬の効果が期待できなくなります。

レビー小体型認知症

側頭葉と後頭葉(視覚中枢がある)の萎縮や活動性の低下が特徴です。パーキンソン病の病変に見られるレビー小体という異常な構造物が、認知機能に関わる大脳全体に見られることから名付けられました。記憶障害以外に、生々しい幻視、およびパーキンソン症状が特徴的です。さらに、便秘や失禁、起立性低血圧(立ちくらみ)などの自律神経症状を伴うことがあります。治療としては、パーキンソン症状に対しては、抗パーキンソン剤が有効な場合があります。精神症状に対してトランキライザーなどを使うと、パーキンソン症状を悪化させることがあるので注意が必要です。

前頭側頭型認知症(ピック病)

高度な判断や注意を集中させる働きを担う前頭葉や、記憶中枢のある側頭葉を中心とした脳の萎縮が特徴です。初期症状としては人格障害が目立ち、非活動的、無関心になり、興味が失われ、自発性が減退するときもありますが、逆に多動、徘徊、多弁(たべん)、周囲への過干渉など活動性が亢進(こうしん)する場合が多くみられます。抑制がとれ、性的逸脱行為、窃盗などが認められる場合もあります。記憶力は初期の段階では比較的保たれています。

血管性認知症

脳の血管が詰まったり、破れたりして起きるのが血管性認知症で、多発性脳梗塞や脳動脈硬化症、脳出血などと診断されることもあります。既に起こってしまった血管や神経細胞の変化を元に戻すことは困難ですが、進行を予防するために血管を拡張させたり、血液が固まるのを抑える薬が使われることがあります。高血圧症や糖尿病、肥満、運動不足などは動脈硬化を進行させますから、それらの治療や予防は血管性認知症の予防にもなります。

アルツハイマー型認知症と血管性認知症とで認知症の原因の9割以上を占めています。その他の原因としては、脳と頭蓋骨の間に血液のかたまりができて脳を圧迫する慢性硬膜下血腫、脳室に脳脊髄液がたまる正常圧水頭症、脳腫瘍、甲状腺機能低下症、アルコール性認知症、進行マヒ( 脳梅毒)などがあげられます。

★二次的要因

入院・入所や転居などの環境の変化で認知症の症状が出現することはよくあることです。また、骨折や貧血など体の変化により認知症がひどくなることがあります。配偶者の死や定年退職をきっかけに認知症が始まった例は事欠きません。このように脳の神経細胞の直接的な変化以外の原因が二次的要因と呼ばれるものです。二次的要因を見つけて適切な対策をとるのが実は最も重要で、現実的で有効な方法なのです。

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