48歳からの華麗な生き方・老後をサポートする

ご存知ですか?手を癒し、心和む幸せニット『なごみマフ』

大阪市「天王寺区オレンジキャラバンの会」代表 西村由紀子さん

イギリスの病院や施設で、認知症ケアの感覚療法の一つとして、認知症で不穏な状態にある人が手に着けることで、落ち着きや穏やかさを得られるように作られた筒状のニット製品『認知症マフ』(twiddle muff:手でいじる筒状防寒具)が、日本各地で作られ、広がりを見せています。その普及活動を行っている天王寺区オレンジキャラバンの会の、作る人と使う人が幸せになるボランティア活動について伺いました。

介護福祉士として認知症専門施設で働いていた西村由紀子さんが『認知症マフ』に出会ったのは、認知症サポーター養成講師として活動し、キャラバンメイトと共に2020年に「天王寺区オレンジキャラバンの会」を立ち上げ、何か社会に役立つ活動ができないかと模索していた頃でした。

「折しもコロナ禍となり、他者との関わりが減っていく中で、一人でも自宅でできる社会貢献をしていこうと。その時、社会福祉協議会のワークショップで『認知症マフ』を知りました。」

西村さんは、施設で多くの認知症の方と接してきた経験を語ります。

「認知症当事者の方は毎日とても大きな不安を抱えて生活されています。自分が分かる時と分からない時があり、一寸先も見えない真っ白なもやの中にいるようだと表現される方もいました。そういう方は手が冷たく、本当はずっと手を握って不安を和らげてあげたいのですが、現実には時間に追われ、十分に寄り添うことができません。そこで『認知症マフ』が、混乱症状の緩和に役立つのではないかと考えました。」

『認知症マフ』はイギリス発祥のもので、朝日新聞厚生文化事業団の山本雅彦さんが現地を視察し、日本での普及事業が始められました。現在は社団法人を設立し、ニット作家の能勢マユミさんとともに普及活動を続けています。

この活動は全国に広がり、名称も団体ごとに異なりますが、天王寺区オレンジキャラバンの会では使う人も作る人もほっこりなごめるようにとの意味を込めて『なごみマフ』と名付け、認知症カフェを拠点にボランティア活動を行っています。完成した作品は百貨店などで展示譲渡会を行い、希望者に無償提供しています。

「色とりどりのマフに足を止めた買い物客が活動を知り、編み物ボランティアとして加わる。そんな善意の循環により、活動は5年目を迎えました。テレビや新聞でも紹介され、全国から「欲しい」「作りたい」という声が届いています。制作は「本体のみ」「飾りモチーフのみ」のように誰もが自分にできる範囲で参加できる分業制にしています。自宅で編んだものを送ってくださるボランティアさんも各地におられます。また、不要になった毛糸などの寄付も全国から寄せられています。」

認知症看護認定看護師からは、「『快』の刺激を提供することで、認知症の人の感覚を通じた関わりを促し、良好な状態を維持できる可能性がある」との報告もあります。天王寺区オレンジキャラバンの会は、これからもこの温かな支援の輪を広げていく予定です。

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