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あなたの『終の住処』はどこですか?!〈連載15 〉

介護保険利用は『ケアマネジャー』に相談しよう!!

株式会社服部メディカル研究所 代表取締役長 服部万里子さん

 看護師でもある服部万里子さんは、1989年に服部メディカル研究所を立ち上げ、1999年NPO法人渋谷介護サポートセンターを創設し、居宅介護支援事業所を開設。現在でも東京都渋谷区で居宅介護支援事業所を運営し、介護保険利用者と介護サービス事業者間の調整役と介護保険制度の在り方にも注視しています。

今回は良いケアマネジャー(介護支援専門員)の選び方や役割について伺いました。

ケアマネジャーの役割とは?!

ケアマネジャー(略:ケアマネ)の役割は、介護保険サービスの利用者のためにケアプラン(介護サービス計画書)を作成し、サービス事業所につなぎ合わせる調整役です。ケアプランでは高齢者が抱える問題点を明らかにし、本人の望む自立した日常生活が送れ、それを支援するための目標を高齢者と一緒に決め、目標達成状況を適宜モニタリングします。

高齢者は事業所に要望やクレームを直接言いづらい場合には、ケアマネが代弁して事業所に意見を伝えたり、反対に事業所の考えを利用者に伝えたりするなど調整役を務めます。もちろん利用者はケアマネを替えることもできます。

ケアマネの主な職場は、自宅介護を受ける人のための介護サービスをつなぎ調整する「居宅介護支援事業所」や特別養護老人ホームなどの施設内、自治体の介護相談窓口となる地域包括支援センター(略:地域包括)などです。

また、介護サービスを提供している介護サービスやデイサービス、福祉用具貸与事業所が「居宅介護支援事業所」を併設しているケースが9割です。残り1割は単独で「居宅介護支援事業所」を運営しているケースが多いそうです。

ケアマネジャーに出会うタイミングは?!

ケアマネにサービスのケアプランを立ててもらうのは、介護保険が必要になった時です。それは病院からの退院時と、在宅では加齢によりサービスが必要になった時です。

病院から退院する時、介護保険が必要になった時には、病院と連携している居宅介護支援事業所のケアマネを紹介してもらいます。今回の介護報酬から、入院中から病院の主治医が指示を出せることになりました。それによりタイムラグがなくなります。

施設に入所している人もいますが、介護が必要な方は圧倒的に在宅です。

在宅で自分らしく生きるためにはどうしてほしいか、例えば、「買い物ができなくなってヘルパーさんをお願いしたい。持病で看護婦さんに入ってほしい」というとき、相談できる相手がいなければ役所か地域包括に相談します。そして、介護保険の認定をしてもらって、ケアマネを紹介してもらいます。
本来は主治医はいた方がいいわけですし、今は誰でも主治医を持つ時代です。風邪をひいた時や自分の体のこと全体を知ってもらうことで対応がしやすい。最近は訪問診療も多くなっていますし、自分のことをよく知ってもらうことが大事です。今まで健康で医療にかかっていなければ、地域の医師会に相談すれば近くの訪問診療の医者を紹介してもらえます。

良いケアマネの条件・チェック方法は?!

初めはケアマネの良し悪しは判断できないと思いますが、良いケアマネを見極める方法は基本的には3つあります。

 ①対応が早いかどうか!意見をよく聞いてくれるか!

②介護サービスその他の地域のネットワークを持っているか!

③医療との連携が取れるか!

  • ①対応が早いかどうか!
  • 「忙しいからまた来週に行きます」とか、聞いてもすぐに動いてくれない、早くないと駄目です。そして、何回も意見を聞いてくれることが大切です。
  • ②医療や介護その他のネットワークを持っているか!
  • ケアマネの所属する居宅介護支援事業所が看護系か介護系がいいのか。
  • 在宅生活の場合は、看護より介護の方が圧倒的に多い。例えば、食事や調理、掃除ができないということが生活には多いですから、介護系がいいと思います。
  • また、地域のネットワークの情報を多く持っているかどうかが大切ですが、それは利用者にはわからないですよね。だから判断できるのは、早く対応してくれるかどうかです。
  • そして、いろんな選択肢を提供してくれるかどうかです。いろんなサービス事業所と連携していると、例えば、ショートステイは病院もあるし地域にもあります。お昼 1人だと困るという場合はデイサービスがあるし、体調のコントロールが必要であれば医療機関のデイケアもあります。
  • 家から出られない場合は、家に来てくれるヘルパーさんやリハビリも受けられ看護師も来てくれる。必要なサービスを判断して、これを使うとこういうことがあるよと説明をして、いくつかのメニューを選ばせてくれることですね。定食じゃなくて、あなたの性格に合わせたサービスを組み合わせてくれるかどうかです。

経済的な相談にも乗る

高齢者には経済的な相談にも乗らないといけないわけです。介護保険は所得に応じて1割、2割、3割負担になり90%の人が1割負担ですが、厚生年金だけじゃなくて所得があれば 2割負担になるわけです。

例えば、週2回デイサービスと、月に3回訪問看護を利用するといくらになるという計算をする。経済的に困窮している場合は生活保護ということもあります。生活保護でもお金じゃなくて 、介護保険のサービスだけを生活保護でという選択もあります。

  • ③医療との連携が取れるか

ケアマネは医療保険と介護保険の使い分けも知らないといないです。
薬や診察、検査は医療保険ですし、医療機関でデイケアを受けるとこれは介護保険です。訪問看護も医療保険と介護保険の訪問看護があります。

癌末期の患者さんになると、看護は全部医療保険になります。

また、医者は特別指示書を出せます。急激に容態が変わった時に特別指示書で、2週間訪問看護を医療保険で利用できます。

このように医療保険と介護保険の組み合わせによって、個人負担を少なくしてもらうことも大事ですね。これは個人が選べるんじゃなくて、医者が疾患によって選びます。

ケアマネとして難しい利用者のケースは?

①サービス拒否の人

家に誰かが来ることを拒否され、デイサービスを受けるのも拒否されます。それは生まれつきではいないと思うんです。多分いままでの生き方だと思います。その人がかつて誰かに騙されたかもしれないし、何か心にあるのかもしれません。

 ②精神疾患と介護の両方持っている

統合失調症などの精神疾患と介護の必要性の両方持っている人への対応ですね。

例えば、誰か家に来て掃除してもらうとかは、医療ではできないので介護保険になる。それで医療と介護の両方を使い分けする必要があります。大きな病院に行かれなければ、近くの精神科のクリニックにかかる場合もあるし介護も必要。

精神疾患の人の特徴としては、あまり人を信用しないハチャメチャなことを言うこともあります。そういう場合はクリニックの先生に、介護保険認定の指示書を書いてもらえば介護サービスが使えるわけです。

 ③コミュニケーションが取れない人

何に困っているかを発見するのが難しい人。

ゴミ屋敷なんかは本人から訴えられなくて、近所の人が大声を出して困るとか、周りから情報が来ることがあります。その場合には地域包括の人と尋ねて、お薬を見ると精神科に通っているとかがわかり、その先生に介護が必要だからということで医者の指示書を出してもらう。調査は区からでも入れます。
ケアマネさんが関わる状況は近隣からの訴えが多いと思います。近所の人とうまくできてない場合や、住宅の中でゴミ屋敷になって匂いがしたりすると、管理人や近所の人、地域の民生委員が来る場合があると思います。
精神疾患が原因の場合には、介護認定を受けて通院のフォローや、薬でコントロールできなかったら薬剤師さんに来てもらってコントロールにつなげることができます。

 

介護サービス事業者やケアマネは替えることができる!

利用者はサービス事業者が意図したことと合わなかった時には、ケアマネに相談して他の事業者に変更することができます。

もちろんケアマネも替えことができます。

介護サービスを利用する人と提供する事業者との関係性がこじれていくとサービス拒否になるので、そういう状態の時にきちんと対応してくれないケアマネは替えた方がいいです。
また、ケアマネも女性がいい、男性がいいということもあります。
介護が必要なのは圧倒的に女性が多く、家の内情など話すのであれば女性のケアマネがいいと。男の人が家に来るのは嫌だということはあります。
ケアマネさんもいろんな種類のサービスを試しに使ってもらい、合わなかったら他のサービスを提案するようにすべきですね。
例えば、「デイサービスと言って送り迎えしてくれて、みんなが集まって体操したりするところがあるんですが行ってみますか」と勧める。利用者さんは「あそこは高齢の方が多く、みんな弱っていて嫌だ」といわれることもあります。
当事者が認知症の人だと他の方とうまく合わせられないことがあるので、認知症専門(少人数)のデイサービスがあるので、そういうところを勧めてみる。そういうことも含めて情報を提案してくれるケアマネならいいですね。

ケアマネからみたサービス事業所の選び方!

ケアマネから見た訪問看護や訪問診療など、良い介護サービス事業所の見分け方については、初めからどんどん替えることがいいとは思いません。どの事業所も最初からピタッと合うことはないので、話しあいながら気になっているところを修正し、コミュニケーションを取っていくのがいいわけです。

 

  • 事業所が近くかどうか:行くにしても来てもらうにしても、緊急対応が必要かもしれないので近くかどうかですね。
  • デイサービスなど楽しい雰囲気でやっているか:通っている人の向き不向きもありますが、楽しい雰囲気でやっているかどうですね。
  • 対応が早いかどうか:在宅に来てくれる訪問看護や訪問リハビリ、訪問診療もそうですが、サービス対応が早いかどうかです。
  • コミュニケーションが取りやすいかどうか:サービスでも同様ですが、よく話を聞いてくれるとか こちらの意向を確認してくれる。
    コミュニケーションが分かりづらくても、本人にわかるようにゆっくり説明してくれるなど、その人に合わせて対応してくれることが大切だと思います。
  • お試しをしてもらう:ケアマネは利用者さんにデイサービスやショートステイでも、お試ししてもらうのがいいかと思います。
  • ベテランのいる「居宅介護支援事業所」を選ぶ:経験豊富なケアマネがいれば、新人ケアマネでも今まで蓄積されたサービス事業所の選別もできているので安定しているかもしれません。

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