認知症になっても変わらない暮らしができる社会を目指す!
認知症になっても変わらない暮らしができる社会を目指す!
NPO法人認知症フレンドシップクラブ 理事長 井出訓さん
認知症の人は2020年には600万人以上と推計され、2025年にはおおよそ700万人と予測されています。また、WHOによると、世界で認知症の人は5500万人以上と推計され、2050年には1億3900万人に増加すると予想されています。根本的な治療法は確立されておらず、日本だけでなく世界共通の課題となっています。「認知症になっても安心して暮らしていける町づくり」についてお聞きしました。
2007年からスタートした認知症フレンドシップクラブでは、現在全国16拠点でネットワーク(DFCネットワーク)を作り活動しています。各拠点では、それぞれの思いを持って認知症カフェやスポーツ、まちづくり推進事業が行われています。
同クラブの発足は、理事長の井出 訓さんが、若い頃イギリスで見てきた認知症の人と一般の方が趣味やスポーツを一緒にしている姿を見て「日本でもそういったことができないかな」ということでクラブを立ち上げ全国に広まったそうです。
そして、2011年には地域で出会いの場を作ろうと、認知症の人と地域の人たちとが一緒にタスキを繋いで走る「RUN伴」を200名ほどから始めたところ、自分たちの地域でもタスキリレーをしたいという声があちこちから上がり広がってきたそうです。
事務局長の浦野典子さんの参加は、美容業界で学校教員を経たのちに独立した2013年ごろ。
「高齢者施設で最初に施術した方が70歳半ばの認知症の女性でした。その方はグループホームに入って半年ぐらい、精神的に不安定な部分があるので落ち着く時間を作ろうということで手施術をしました。認知症の方に初めて関わったことで、認知症のことをもっと知らないとだめだなということで活動している人を探していましたら認知症フレンドシップクラブの方と出会いました」
その出会いから美容的な施術以外にも違うこともできるんじゃないかと思ったそうです。
全国16拠点の取り組みはさまざまですが、年に一度の全国大会、2、3カ月に一度は各地域の代表がオンラインで情報交換会をしています。
認知症まちづくり基金
2016年から、各地域で開催されるラン伴や企業からの寄付などを「認知症まちづくり基金」として積み立て、地域における町づくり活動への助成活動を行っています。2022年度までには北海道から沖縄まで32のプロジェクトを支援してきています。
1プロジェクトにつき最大30万円、学生連携企画枠は最大20万円。
「DFCネットワークの拠点に限らず、広く告知して募集しています。テーマは認知症の人自身による活動や発信、雇用や働く場づくり、まちづくりを推進するチーム作り、認知症の人に優しいまちづくりに関する調査研究、それ以外の活動について。応募は法人、個人を問わず9月27日に公募を開始して、12月末に採択決定をして1月から助成スタートになります」
助成の決定はプロジェクトのコンペによって行われますが、評価基準はプロジェクトを実施することで生まれる社会的インパクトだそうです。