防災の備えは水・食料とセットで『携帯トイレ・簡易トイレ』を!!
NPO法人日本トイレ研究所 代表理事 加藤 篤さん
日本トイレ研究所は1985年に公衆トイレを良くすることを目的として活動をスタートしました。その後1990年代に、トイレという切り口でどうすれば社会や暮らしが良くなっていくのだろうと考えた時に出てきたテーマが、山のトイレと環境保全、災害時のトイレと健康問題、街中のトイレのバリアフリー、子どもたちのトイレ環境の4つのテーマでした。様々なトイレ問題に取り組んできた加藤 篤さんに伺いました。
トイレ問題にアプローチする際に共通して行っているのは、それらに関わる人たちに問題を共有・改善していく場づくりを行い、社会全体として取り組んでいく動きをつくること。その一つに子どもたちの排便問題があり、同研究所は11月10日から19日までを「うんちweek」として啓発活動を実施しています。
「全国の小中学生124校(小学生12307名、中学生1258名)にうんちチェックシートを配って7日間の排便状況を調べたところ、児童に関しては26.3%に便秘が疑われるという結果が分かりました。
学習指導要領に「排泄」という文言がないため、子どもたちは自分の排便状態が健康的なのかそうでないのかを学ぶ機会がありません。毎日自分の排便状態をチェックすることは、日々の生活を見直すことであり、排便の改善につながっていくわけです。
こういうデータを社会に発表することで、小中学校や幼稚園・保育園など、子どもの便秘に関心をもってくれる人が増えることを期待しています。
今の時代YouTube やWeb上でも便秘の兆候、治療の考え方が公開されるようになってきましたが、便秘は気軽に早めに医療機関に相談して早めのケアが大事だそうです。
また、同研究所は阪神・淡路大震災以降、フォーラムなどで災害時のトイレ対策の重要性を発信してきましたが、東日本大震災でトイレ問題が改善されていないことに直面し、新たな取り組みとして、2012年から「災害時トイレ衛生管理講習会」をスタートしています。
「トイレは食べて出すという排泄の場所。その先の下水道や浄化水道全体がうまく機能していないと成り立たない。災害時に安心できるトイレ環境をつくるための人材育成がこの講習会です。
地震などでトイレが不衛生になると集団感染のリスクが高まり、被災者は水や食事を控え、それが誤嚥性肺炎やエコノミークラス症候群などを引き起こす。また避難所という集団生活の秩序が乱れることにつながり治安が悪化します。
我々が協力した調査では発災後3時間以内に約4割の方がトイレに行きたくなると答えています。備えに水や食料も必要ですが、先に必要なのはトイレです。携帯トイレや簡易トイレなどを備えておくことが必要です
介護施設や事業所においてもBCP(事業継続計画)策定が義務化されていますので、トイレを重視した備えが必要です。