身体の不自由な人のための“服のお直し”サービス『キヤスク』
株式会社コワードローブ 代表取締役社長
キヤスク代表 前田哲平さん
自分の好きな服を身体の不自由に合わせて、着やすくお直しするサービスが『キヤスク』です。ウェブサイトにアクセスをして、依頼したいお直しメニューとお直し対応するスタッフ(キヤスト)を選び、打ち合わせします。「すべての服を、あなたの服に」を掲げている前田哲平さんは「メニューにないお直しでも、できる限りお受けできる形にしています」と要望に応えています。この新しい事業についてお話を伺いしました。
前田哲平さんはユニクロで働いている時に、「身体の不自由な人は「着やすさ」を優先して服を選ばないといけないので、服の選択肢が一般の人より非常に少ない」ということに気づき、そういう選択肢のない人のために何かやれることはないかと、ユニクロを退職して起業。障害のある人が、自分の好きな服を身体の不自由に合わせて、着やすくお直しできるサービスに着想します。車いすユーザーの方に話を聞くと、「リフォーム店に洋服を持って行くのが大変、直してほしいところをうまく説明できない、値段が高い」などの声がありました。この逆をサービスにしようと考え、「自宅で利用できるオンライン、送料はかかるが市場の約半額の値段、メニューは障害や病気のある人のニーズへの対応に特化」した『キヤスク』を立ち上げました。
キヤスクを立ち上げるにあたっては、クラウドファンディングで寄付を募り、276人の方から400万円の支援を集めたそうです。同時にお直しするキヤストになりたいと申し込みをしてきた方が12名いたそうです。
「キヤストは身内に障がいのあるお子さんがいて、そのお子さんために洋服を直してこられた方が多いです。アイテムはTシャツからパンツまで、さらに着物や水着など、幅広くお受けしています。キヤストはお客様とオンラインですべてやりとりをしていますが、この方法で全く問題はなく、お客様とのトラブルもありません」
現在「キヤスク」の利用は月に20件程度、まだまだ注文件数としては少ないですが、前田さんは「リピート率は高く3人に2人は半年以内にリピートされるので、1度利用してもらえれば良いと思っていただいて、ずっと利用続けていただけるサービスを提供できていると思います」と自信を持っています。
「メディアで取り上げていただくたびに、キヤストになりたいと言ってくださる方々がおられます。今はキヤストの数は15人ですが200人、300人とキヤストになっていただける方も増やしていけるよう、サービスを成長させて行けたらと思っています。これからは障害のある人だけでなく、年齢とともに体つきが変わって昔着ていた洋服が着れなくなった人など、いろんな人たちに利用していただけるサービスだと思っています」と話し、これからは一般のアパレル企業との連携も視野に拡大して行きたいそうです。