人生100年時代に最期はどこで迎えたいですか?!
公益財団法人Uビジョン研究所 理事長 本間郁子さん
『ミシュランガイド』のように介護施設も☆☆☆と評価されていれば、施設選びは安心です。公共性の高い特別養護老人ホーム(特養ホーム)に暮らす人の尊厳を守り、福祉サービスの質の確保と向上のための認証制度『悠』を創設した本間郁子さんは「施設選びは人生最後のバクチ」と話し、そうならないためにと「特別養護老人ホームを選ぶチェックポイント」の冊子を発刊。人生100歳時代に自分の最期をどのように考えておくべきかを伺いました。
全国の特養ホーム1600カ所以上を見てきた本間さんは、「特養ホームは国民のお金で運営しているにも関わらず、相談窓口では入居条件を知らない人がいます」と。特養ホームのメリットは①身元保証人がいなくても入居できる ②経済状態に関わらず入居できる ③施設の都合で退去させることはできない、の3点をあげています。
今日でも特養ホームへの入居待機者は多いのではないかと思われますが、東京の三多摩地区では特養ホームの空きが多く、入居者募集サイトができているそうです。
「介護保険ができたころ、特養ホームへの入居者が殺到したため、それまで申し込み順だった制度を、在宅介護が困難な人、社会的入院を繰り返している人を優先することで、約50万人の待機者(平成2年度で約29万人)を整理したわけです。しかし、2015年に要介護度3以上の入居になってから、100床の特養ホームだと年間約3割の方が亡くなるので3年待てば入居できるようになる。空いている特養ホームも少なくありません」
認証制度『悠』を創設
この特養ホームが外から中が見えない、情報開示をやらないと選べないと2006年に厚生労働省が『情報の公表』のHPを立ち上げ、本間さんも加わり作り上げたそうですが、「『情報の公表』はあくまでも施設側の自己申告。不祥事が起きた施設とその中身を較べると合わない。良いことしか書かれていないんですね」
そこで、本間さんは認証制度『悠』を立ち上げ、契約した特養ホームに4人で3日間入り、コンプライアンスを遵守しているか、入居者の日常生活を観察し職員へのヒアリングで質をチェック。年に1度は「抜き打ち調査」を虐待の多い夜間に行い、拘束されていないか、ナースコールを取りにくいところに置いていないかなど、一部屋ずつ写真を撮っているそうです。
「入居条件が重度者になってからは、本人が施設へ要望を話すこともなく家族も遠慮する。職員には不満を聞くことで改善点を見つけて提案しています」
本間さんは5年間フランスにいたときにミシュランに評価基準を聞いたそうですが、5年間調査研究し作り上げてきた認証制度は、イギリスやフィンランドと比較してもトップクラスだと自負しています。
「これから100歳までの期間、病気や認知症になる確率も高くなりますが、それら全てが自分の個性だと思って生きる。そしてどこでどう死にたいか意思表示し、その意思を尊重した支援体制が施設には必要です」
バクチのように施設を選ばなくても良い時代が来ることを願っています。
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