与えられた長寿を生きがいを持って生きなければ全うできない!
日野原重明記念「新老人の会」東京 世話人代表 石清水由紀子さん
105歳で亡くなった聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さんは「生活習慣病」という言葉を生み出し、2000年には元気で自立した高齢者でつくる『新老人の会』を設立。自ら新しい老人の生き方を実践し示してきました。『新老人の会』のモットーと使命、行動目標は普遍的であり、高齢社会に向け今こそその教えを実践すべきです。長年日野原さんの元で仕事をして学んできた石清水さんに、その教えについてお聞きしました。
日野原さんは1973年に日本の医学医療の刷新を目的に、財団法人ライフ・プランニング・センターを開設し、健康診断による予防医療、健康教育事業を展開しました。その健康教育センター長をしていた石清水さんが、2000年の『新老人の会』発足時に事務局長を命じられました。
「日野原先生は、みんな長寿になったけれど生きがいを持って生きなければ、与えられた長寿を全うできない。新しい老人の生き方をしようとさまざまな方策を提唱し、それをみんなで追求するのが『新老人運動』だと」
最盛期には全国46か所でしたが、今は20か所と減少したものの、各地域では「前向きに生きる」教えを実践しているそうです。
昨年は5年ぶりの全国連絡会の集いで皆さんから要望されたのは、「『新老人の会』とはどんな会か。日野原先生が講演で話され、著書に書いておられたことを含めて、これをみれば分かるというもの(映像)があるとよいということでした。私の方には、さまざまな資料が残されていますので、私がやるしかないかと引き受けました」と石清水さん。そして、『新老人の会』の活動はこれからも必要、「新しい世代にもこの趣旨や行動目標は活きていきます」と自分たちの生き方に落とし込んで整理を始めていくそうです。
『新老人の会』の3つのモットー
- 愛し愛される人間であること/ 愛し愛される人間であれば戦争は起こせない
- 新しいことを創めること/ いつも新しいことを考え実践することで、人は老いない。
- 苦難に耐えること/耐えることによって他人の苦しみに共感できる。深みのある人間になれる。
使命は「子どもたちに平和と愛の大切さを伝えること」
『新老人の会』5つの行動目標
- 自立/日本のよい文化や習慣を家庭や社会に伝え、次の世代が健やかに成長する役割を担う。自立して次の世代のモデルになるような生き方をする。
- 世界平和/20世紀の負の遺産である戦争を通じて学んだ体験と、人類愛を忘れた生き方の反省から得られた教訓を、次の世代に伝え世界平和の実現に寄与する。
- 健康情報の発信/ライフ・プランニング・センターのスローガンである「自分の健康は自分で守る」ために、医学・医療の知識や技術を身につけ、家族や社会に伝達し、老年医学・医療の発展に寄与する。一般の人のレベルが上がると、医療者は変わらざるを得ない。患者が変わることが先だ。
- 会員の交流/健やかな第三の人生を感謝して生きる人々が、新しい自己実現を期して交流し合い、心豊かな老年期を過ごす。年齢差があるので自分の10年先、 20年先のモデルを見つけることができる。
- 自然に感謝/過度に発展した不健全な文明に歯止めをかけ、与えられた自然の恩恵に感謝し、真の教養を身につけたよい生活習慣による生き方の普及を図る。