ステッキのアミューズメント・パークを作りたい!
ステッキ専門店「チャップリン」
サン・ビーム株式会社 会長 山田澄代さん
1997年に日本で初めてステッキ専門店「チャップリン」をWホテルにオープンした山田澄代さんが、昨年4月に「山田澄代の杖ワンダーランド」を発刊しました。40年以上かけて集めてきた約1000本のステッキの中から、約700本のコレクションが紹介され、その世界中の素晴らしいステッキ(杖)は博物館のように歴史と職人技を知ることができます。ステッキを使っている人も一読すれば、誇りを持って楽しく突けるかもしれません。
山田さんとステッキ(杖)との関わりは、3歳の時に流行したポリオに罹患した後遺症で、小学生の頃は母親に背負われて登校。中学校に通う頃には松葉杖で歩けるようになったそうです。山田さん自身は「中学校では乗馬も習いましたし、自転車も右足だけで漕ぐコツを覚えたら結構乗れるのよ」とあっけらかんと話されています。18歳の時に整形外科の名医の執刀を受ける機会を得て、ステッキ一本で歩けるようになったそうです。
卒業後は保険会社へ就職し営業成績No.1に。そして無添加のパン作り教室と製造機の販売を始めるが軌道に乗ったところで、大手メーカーの参入で手を引くことに。そのような人生の間にも、ステッキをデパートなどで気にいるものがあれば買い求めていたそうです。
「1980年頃パリの骨董店でガラス製の素晴らしいステッキに一目惚れしたことがコレクションの始まりです。それから40年以上国内外のアンティークショップや蚤の市で買い求めたもの。また亡くなったコレクター2人から寄贈されたコレクションも含め現在は約1000本が手元に集まっています」
山田さんがステッキの専門店を始めようと思ったのはまもなく還暦という頃。
「残りの人生は誰かの役に立てられたらいいな。自分に合うステッキが見つからない、使い方に困っている方のお店ができないかと。日本で初めてステッキ専門店をオープンすると、全国からユーザーやメーカーからの問い合わせの電話が殺到しました。そうした出会いをきっかけに、折りたたんでバッグに入れられるステッキやヒールの高さに合わせて1 mm 単位で長さ調節できるステッキなど、実際に使う人の立場から考えたオリジナル商品が生まれました。
体に合ったステッキを使うと背筋がシャキッと伸びて気持ち良く歩けます。足腰をかばって無理をしていた部分が、楽になることで腰痛や肩こりがなくなったという方もいらっしゃいます」
今日では折り畳みやカラフルな柄のステッキが当たり前になってきたのも、山田さんが業界を牽引してきたお陰だと言っても過言ではありません。
次の夢は「私の元に集まってきた約1000点のステッキを次の世代につなげていくこと。ステッキを中心に様々な催しが開けるサロンの開設です。ステッキと共に笑いが湧き上がり、人々の幸せの連鎖が起こるような開かれた場。ジャンルを超えた人々が集うステッキアミューズメントパークを作りたいのです」
※「山田澄代の杖ワンダーランド」朝日新聞出版:2,500円(税込)