特集 万博でO-MU-TSU WORLD EXPO

めっちゃオシャレ!「履きたいおむつだ!」
♕ 障がいを抱えていても 排泄の悩みがあっても
誰もがオシャレを楽しめる世界へ
主催:一般社団法人日本福祉医療ファッション協会 代表理事 平林景
『おむつ』と聞くとベビーや高齢者介護、障がい者が履くもの、履かせられるものといったイメージでしょうか。しかし、当の本人は「履きたくないが仕方ない」と思っています。この当事者の話を聞いて「履きたいおむつ」に変えられないだろうかと考えたのが日本福祉医療ファッション協会の平林景さんです。そして、紙おむつメーカーを取り込み、「こんなおむつだったら履いてみたくない?!」というおむつを、大阪・関西万博会場で「O-MU-TSU WORLD EXPO」を発表しました。
日本の紙おむつは世界でいちばんの機能ですが、インナー使用を色付けしたり、フリルを付けてアウターで履けるようなデザインにしたらどうなるだろう。尿だけじゃなく汗も吸い取る発想で、スポーツなど多種多様な使い方ができるんじゃないかと投げかけました。
おむつの未来は・・・
1:下着と遜色のないものに
2:下着よりもおしゃれに
3:アウターとしての利用
6月24日に開催された「O-MU-TSU WORLD EXPO」は、1900名収容の万博EXPOホールが満席。
トークショーではプロジェクターマッピングを使い、会場にいる方と「おむつの色は何色がいい?」「おむつを履いたことがある人!」といったやりとりで、参加されている方の意見もわかる演出でした。
トークショーでテリー伊藤さんは「もっと幅広い方にも使えるし、おむつを“ペーパーブリーフ”に変えたらどうかな」と提案。宇宙飛行士の金井宣茂さんは「ロケット打ち上げ時の宇宙服の中は紙おむつのお世話になっています」と、おむつは宇宙飛行まで活用されています。
今回はおむつメーカー7社、下着メーカー、京都友禅や西陣織の伝統工業が協力しておむつとその上衣の31点のコレクションを作り上げ、中には「NEOフンドシ」も披露されましたが、観ていた方にはわからなかったでしょう。
トークショーⅠ:演出家テリー伊藤さんVS平林景さん
テリー伊藤さんはおむつを「ペーパーブリーフ」と提案!
テリー伊藤:僕75歳なんですが、おむつを履いている仲間もいっぱいいますよ。僕ね「おむつ」という言葉は好きじゃないんですよ。「ペーパーブリーフ」という言葉どうかな。
僕はスポーツが大好きで、ジムに行くとき「ペーパーブリーフ」を持って行ってはいていますよ。
平林 景:マラソンで長時間走ると汗をかいて下着がビチャビチャになるわけです。もしおむつの吸収体が全部についていたら、おむつを履いてマラソンやっていても快適さ違いますよね。
テリー伊藤:ドライブに行った時や映画館で真ん中の席だと出るのが大変。野球中継なんかで使うのもいいな。
また、僕は旅行に行った時も、普通のパンツだと持って帰るのがめんどうくさいからおむつを履いています。ただ捨てる場所がないので困るんですよね。
スポーツや旅行という場面で、新しい価値観というものがおむつにできればすごくいいなと思いますよね。
平林 景:今おむつを履く人、履かない人がいますが、日常では心理的なハードルがあると思うんですね。「おむつを履かなくてはいけなくなった」ということではなくて、「今日はおむつにしとくわ」という感覚になるだけでも意識としては大きいですよね。
テリー伊藤:僕は昭和24年生まれ。戦争を知らない老人の1期生なんですよ。仲間には老人ホームに入っている連中もいて、老人ホームでビートルズやユーミンを聴いたりしているんですね。いろんな価値観が昔と全然変わってきているんですよ。
皆さん!「何色だったらおむつ履きたいですか」
テリー伊藤:先ほどモデルさんが履いているおむつの様子を見ると、全然これ町着じゃんと思いましたよ。
平林 景:おむつに色をつけるだけでも、かなり変わったイメージになりますよね。
メーカーさんに聞くと、今まで色つきのおむつに何回も挑戦しているそうです。80代から90歳代の方は、白いブリーフで育った世代なので白の方がいいそうです。今ニーズが変わってきている境目じゃないのかな。
会場の人に聞いてみましょう「何色だったらおむつ履きたいですか」
白、黒も多いですね。紫、ピンク、インディゴ、デニムっぽいものでもいいかもしれないですね。ヒョウ柄もいいですよね。
テリー伊藤:白い「ペーパーブリーフ」は、脱いだ後にオシッコの色がわかるんです。それがいいか悪いかわからないけれども、黒だとそれが分かりにくいですよね。
平林 景:障がい者の方から「課題解決だけだと世の中変わらない」って言われたんです。「じゃあどうやったら広がるの」と聞くと、「日常的に履けるものがいい」って。その中で最たるものがポーツの時です。マラソンの話が出たんですよ。
その実物を用意しました。かっこいいですね。
おむつを手掛けようと思ったきっかけは?!
平林:おむつを手掛けようと思ったきっかけは、車いすの方が、「友達と旅行に行ったことがない」と言うんですね。なんでと聞くと「私がおむつをしていることを友達だけには見られたくない」と言うんですよ。
じゃぁどうやったら解決できるのって聞くと「普段履いている下着よりも、カッコいいものが出たら喜んで履きます」と、結局そこが問題だったんだということですね。
若い40代50代の時から普通に使っている感じだとおむつに対する壁はない。そうなると一瞬にして価値観を変えられるんですよね。
その日の気分とかファッションに合わせて、おむつが色々選べるということもできますよね。
一瞬にしておむつの価値観を変えることができる!
テリー伊藤:紙おむつに対する抵抗がある方もおられるので、マスクみたいな感じで、今は日常的にもつけられていますよね。そこがすごく大事だなと思いますね。
平林 景:ある時に価値が変わる。「仕方なくて買うもの」から「その日の気分で選ぶものに」。今は伊達メガネをかけている人が多いと思うんですが、そのような価値観に変わればいいですよね。
テリー伊藤:そういうおむつを普通に履いているようなプロモーションビデオを作ったり、あとは世界のリーダーたちに履いてもらったりする。一番いいのは大谷翔平ですよね。大谷が「トレーニングで履いていますよ」と言うと、たった一つの価値観で一気に変わりますよね。
あとユーミンなんかもいいね。竹内まりやとか吉川晃司が素敵に履いていたら価値観が変わりますよね。
こういう話をしてるだけでも楽しいですよね。
平林 景:今のおむつがダメだと言っているのではなくて、選択肢を増やしていくことが大事だなと思っていまして、いろんなものを作っていくことでその人が幸せになるきっかけになればいいかなと思っています。
今までなかったけれど、こういうものがあればいいよねと。そういうことを少しずつ変えていけるきっかけに今日はなるかもしれないですね。
O-MU-TSU WORLD EXPO
コンセプトはロック&モード:平林景
今回、皆さんに「おむつとは何か」を問いかけています。このショーが終わった後に、「おむつとは何だったのか」とおむつの価値観が少しは変わったんじゃないかなと思います。
ファッションというのは誰かに見せるためだけのものじゃなくって、自分自身これがいいと選べる選択肢がとても重要じゃないかなと思います。これまでは仕方がないと思って履いていたおむつかもしれません。でも僕たちは誰もがネガティブに捉えているおむつを、ポジティブに変える力を持っているんです。
もしも、おむつのデザインが選べるようになったとしたら
もしも、おむつが自分らしくオシャレが楽しめるものであったとしたら
もしも、年齢も性別も障害も関係なく誰もがカッコよく、可愛く堂々とおむつを履けるとなったら
もしもの問いかけこそが未来の扉を開く鍵になると思っています。
今回、皆さんに持ち帰っていただきたいのは「おむつってむちゃくちゃカッコいいんじゃない」「私だったらもっとこんな感じがいいな」と思い浮かべていただければ成功じゃないかと思っています。