“あきらめない”こわれた「おもちゃ」を修理する!!
日本おもちゃ病院協会会長 おもちゃドクター 三浦 康夫さん(74歳)
「おもちゃ」は遊びながら幼い 子ども達の創造力を駆り立 てます。人形なら自分の分身 でもあるかのように親しみを 持ちます。そんな大事なおも ちゃが壊れてしまった時の悲 しみはいかほどのものでしょ う 。 壊 れ た お も ち ゃ を“ あ き らめず”なんとか“治してあげ よう”というのがおもちゃドク タ ー で す。 お も ち ゃド ク タ ー をめざす方への養成講座は いつも満席。その魅力につ いて日本おもちゃ病院協会の 三浦康夫会長に伺いました。
30年ほど前からこわれたおもちゃ を無料で修理していた故松尾達也さ ん(初代会長)は、おもちゃを治してい る人々のレベルを全国的に均一化し、 情報を共有する必要があると1996 年 に「 お も ち ゃ 病 院 連 絡 協 議 会 」を 設 立 。 その年におもちゃドクター養成講座を ス タ ー ト さ せ 、2 0 0 8 年 に「 日 本 お も ち ゃ病院協会」に改称しています。
3代目会長の三浦さんは小学校高学 年ごろからおもちゃの修理が好きにな り、自動車の技術関係のサラリーマン 時代に、おもちゃドクター養成講座を 知って受講した第2期生です。
おもちゃドクターはこわれたおもち ゃ を 無 料 で 修 理 す る ボ ラ ン テ ィア で す。
「 ボ ラ ン テ ィア 活 動 が 目 的 で は あ り ません。ほとんどのおもちゃが中国製 な の で 日 本 で 部 品 が 手 に 入りま せ ん 。 完全に治すことができればお金もい ただけますが、完全修理は保証でき ないので無料でやっています。できる だけ9割以上を目標に元の状態に近 づけ、あきらめずに治すことを心がけ ています」
女性にも人気の養成講座
お も ち ゃド ク タ ー 養 成 講 座 は 3 ヵ 月 に 1 度 。 コ ロ ナ 禍 で 延 期 し た り 、定 員 を減らすこともありますが、開講する とすぐに満席になるそうです。
「今までは60歳前後の男性の受講 が多かったのですが、最近は7%が女 性。幼稚園の若い女の先生は、園児 から早く治して欲しいとせがまれてい るのかもしれません」。現在、全国で 約1700人のおもちゃドクターが活躍し ています。
養 成 講 座 は 3 日 間 。「 初 め は 基 本 的 な考えを講義します。実技は100円 均一で売っているドアが開くと音がで る防犯用の器具を改造したスピーカ ー作りなどです。モーターを使ってい るおもちゃが多いので、モーターの分 解、組み立てなどを行っています」と 三浦さん。
協会では修理に必要な特注ドライ バーを会員に提供したり、修理で困っ たことに関する情報を共有し、レベル アップを図っています。
三浦さんは「コロナ禍が落ち着いた ら、早く元の状態に戻ることを祈念し ています」といい、ご自身はおもちゃド クターとしておもちゃ美術館やデパー ト、おもちゃ専門店を訪問する毎日。
「 お も ち ゃド ク タ ー に は 向 き 不 向 き がありますから、面白そうだなと思わ ないと長続きしません。手先も頭も 使うので、私自身は良い趣味を見つけ たと思っています。これから長生きで きるのではないでしょうか」