大丈夫ですか「耳の聞こえ」 難聴改善は認知症予防になる?!
老化とともに少しずつ耳が聞こえにくくなっていくと、知らず知らずのうちにテレビの音が大きくなり、家族から指摘されてからわかることが多いようです。聞こえずらくなってもすぐに病院で受診する方も少なく、「歳だから」とあきらめ、我慢している方も少なくありません。
歳をとると記憶力が悪くなり、頭の回転が鈍くなったりしますが、意外や『知識力』は歳を重ね人生経験も増し成熟していくようです。しかし、“難聴”によって外界から入ってくる情報が少なくなることで知的な能力を使う機会が減り、情報処理スピード能力が低下すると、社会的ネットワークにも影響するようです。
テレビを見るときは集音器で聞こえやすくすることができますが、日常会話は聞こえずらくなっても適当にごまかせるので、コミュニケーションがとれなくなったり、会話の理解力ができなくなることで認知症に進むため、「難聴は認知症の最大の原因になる」と国際アルツハイマー病会議で報告されています。
老化と難聴を理解して補聴器や集音器を上手に使うことで認知症を予防し、快適な日常生活を送るようにしましょう。
記憶力は落ちても『知識力』は成熟する
難聴は女性より男性がなりやすい!
私たちは歳を重ねていくと記憶力が悪くなり、頭の回転が鈍くなったと落ち込みがちですが、安心してください。NILS-LSAの研究では『知識力』などは、歳を重ね人生経験を重ねることによって成熟する、知的な能力があることが分かっているそうです。
難聴については70歳代の男性だと5人に1人、女性では10人に1人がなりやすいようです。また、難聴が高齢者の日常生活にどのような影響をもたらすかというと、コミュニケーションが苦手になったり、町内の付き合いがおっくうになり、外出を控えているうちにそれらの意欲が低下していくようです。身体機能と同様に、知的な能力も使わずに過ごすと少しずつ衰えていくことがわかっています。
高齢者の難聴と「人とのかかわり」について
あなたのネットワークサイズは大丈夫ですか?
社会的ネットワークで、付き合いのある人の数「ネットワークサイズ」が小さいと、認知機能の低下、心疾患や脳卒中の発症、死亡率にまで影響するという報告があります。人とのかかわりは心身の健康に大きく影響することが推測されます。
高齢者の難聴と「人とのかかわり」の関係性について、NILS-LSAでは社会的ネットワーク「コンボイモデル」に基づいて調査した結果、難聴がある人は3つの円に記入された合計人数が少ないこと。関係性別で、記入された家族・親族の人数は難聴の有無に関わらずほぼ同じなのに対して、難聴がある場合は外側の第3円に記入された人数が少ないことが分かりました。
図のように、中心に「あなた」、その周りに3つの円を描いて、それぞれ親しさの程度に応じて、関わりがある人々を書き込んで、自分のネットワークサイズを確認してみましょう。
図 社会的ネットワークの記入例
国立長寿医療研究センターのHPをもとに作成