あなたの『終の住処』はどこですか?!〈連載22 〉

外出手段で困った時に利用できる『移動サービス』
サービス料金・介助付き・介護保険適用・UD車などさまざま
NPO法人全国移動サービスネットワーク 事務局長 伊藤みどりさん
自宅で終末期を迎える間には、足腰が弱り杖から歩行器、車いすを使うことも予想されます。困るのは外出です。要介護状態でなくても、地方では高齢になり運転免許を返納すると、外出することが困難になってきます。そのような時に利用できる『移動サービス』があります。『移動サービス』は主体者、料金設定、介助付きかどうか、介護保険が適用されるか、車いすでも乗れる車かどうかなど条件がさまざまです。
そこで今回はNPO法人全国移動サービスネットワーク(全国移動ネット)事務局長の伊藤みどりさんに、色々な事業者のサービス内容をわかりやすく解説していただきました。
移動サービス実施団体が加入
全国移動ネットは全国各地の「福祉有償運送」の実施団体や、福祉・介護タクシーの事業者などが加入。地域交通や介護保険などの制度改正が行われるたびに、移動・外出に関わる制度改正についてのシンポジウムを開催したり、地域ごとの勉強会への講師派遣を行なったりしています。「福祉有償運送」のドライバーを育成する講習機関でもあります。
また、移動・外出に困っている人の相談に乗り、利用できる制度やサービスを紹介する「よろず相談」も実施しています。
身体的、地理的に移動が困難な人の
外出支援を行うサービス
『移動サービス』は「身体的な理由や地理的な理由等により移動に困難を伴う人、公共交通機関を利用するのが困難な人(=移動困難者・移動制約者)に対して、車を使って送迎や移動・外出の支援を行うサービスです。
福祉有償運送の場合、利用対象となる高齢者は、要介護・要支援認定を受けた人のほか、厚生労働省が定めている『基本チェックリスト』に該当する人です。全国に2500ほどの実施団体がありますが、障がい者のみを受け入れている団体もあるため、どこでも利用ができるわけではありません。車いすごと乗車できるリフトやスロープのついた車両のほか、運転者のマイカーも使用されています。福祉有償運送のほかに、福祉タクシーや介護タクシーなどもあり、大きく分類することができます。
サービスの特徴を挙げると。
(1)福祉タクシー
車いすやストレッチャーのまま乗り降りができる装備を備えた福祉車両を使ったタクシーです。ただ付き添い介助はなく、乗り降りの介助だけです。
(2)自家用有償旅客運送
タクシー呼んでもなかなか来ないような地域を発着地として、一種免許のドライバーが自家用車を運転するのが交通空白地域有償運送です。市町村が実施していることが多く、非営利団体が実施するケースも少しあります。バスのように時刻や路線が決まっているのが一般的ですが、ドア・ツー・ドアのサービスも少しずつ増えているようです。
一方、要介護者や障害者等に限定して実施するのが前述の「福祉有償運送」です。
利用料は、路線が決まっている場合はバス並みで、ドア・ツー・ドアの場合は、タクシー運賃の8割が上限とされています。実施団体ごとに設定が異なります。
(3)福祉限定タクシー(介護タクシー)
タクシーと同じメーター運賃ですが、「ケア運賃」というメーターより安い運賃設定も認められています。対象者は介助が必要な高齢者や障がい者、一時的な怪我や病気の人に限定されていて、車両は、車いすやストレッチャーのまま乗り降りができる装備を備えた福祉車両です。運転者は介護資格を持っているのが一般的で、付添をしてくれる事業者もあります。その場合、運賃とは別に料金がかかります。
(4)訪問介護員等による(介護タクシー)
介護保険の訪問介護のヘルパーさんに通院したい時などに送迎もセットで依頼できるサービスです。ヘルパーさんが運転して、付き添い介助までするサービスですが、訪問介護事業所でもこのサービスを提供している事業所としていない事業所があります(後述)。
介護保険が適用され1回の利用料は1割負担なら、介護報酬が約1000円なので100円+運賃部分。要介護 1以上の人しか使えません。
(5)ボランティア送迎
主に社会福祉協議会やボランティアグループ、自治会などが実施しています。ガソリン代や保険料の範囲で利用料を設定するケースと、家事支援など色々な生活支援のメニューの一つとして一定の利用料を受け取るケースに大別できます。
【相談窓口】
これらの輸送・移動サービスを所管しているのは、市町村の交通担当や障害福祉課や高齢福祉課など、いろいろです。ケアマネジャーが把握している場合もありますが、まずは地域包括支援センターや社会福祉協議会で相談することをお勧めします。
全国移動ネットが制度改正要望
『移動サービス』の関係法制度は、頻繁に改正されていてわかりにくい面がありますが、地域の状況が刻々と変化する中、国も何か手を打たなければならないと考えていると伊藤さんは話します。
訪問介護員等による有償運送(介護保険適用の介護タクシー)の制度緩和
制度改正で訪問介護事業所が行っている「有償運送」の緩和があります。ヘルパーが訪問介護の一環で利用者の送迎を行う場合、道路運送法上の許可又は登録の手続きを取ることとされていました。手続きには様々な要件があるため、送迎を行わない訪問介護事業所もありましたが、今年3月に、この手続きをしなくてもよいという解釈が示されました。
利用者から運賃に当たるお金を受け取らなければ、道路運送法の手続きは不要です。ガソリン代+保険料のみを受け取れればいいと考えるなら、介助付きの送迎を引き受けてくれるかもしれません。







