保険外サービスで利用者も有資格者もウィンウィンの関係に!

イチロウ株式会社 代表取締役 水野友喜(39歳)
介護施設でも人手不足から外国人介護士を見かけることが当たり前になりました。在宅では介護保険サービスを利用しようと思っていても、ヘルパー不足で事業所自体が辞めるところも出ています。介護保険サービスだけでは足りない、自費による保険外サービスが提供され需要も高まっています。その利用者と介護士とをITによってマッチングさせ、オンライン型の介護サービスを始めている水野友喜さんにお話を伺いました。
10年間介護施設に勤務していた経験を水野友喜さんは、「入居者の多くは、自宅で最期を迎えたいと望みながら、施設で亡くなっていました。また、施設入所する時には、本当は入りたくて入っている方はそんなにいません。家族も、やむを得ず入所を選び、後ろめたさを感じておられます。家族は在宅介護で、少しでも大変だとすぐに施設入所を考えられるようですが、その中間がないように感じたのです」と話され、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせながら、自宅で工夫できる環境を作ることが必要だと感じたそうです。
水野さんはその解決方法として「介護保険制度では介護士さんの給料を引き上げられない構造的な問題があるので、介護士さんの処遇の改善と在宅介護を解決するためには、保険外専門のサービスを提供する必要があると考えました」
そこで介護士さんはスポット的なスキマ時間に働きサービスを提供し、利用者は必要な時間にヘルパーさんにきてもらう。これをオンライン上で申し込むという今風のやり方で2019年から始め、現在では毎月800人の利用者に対しこれまで10万回のサービスを提供しています。登録している介護士や看護師は1万人。イチロウがサービスを提供できるのは主要8都市です。
利用料は時間 3,520円。介護士の時給は2000円+ 指名を受けると 300円上乗せ。医者の指示に基づいた医療行為を看護師が行う場合は時間5,500円。
イチロウのマッチング方法の特徴は、「介護士が登録するときに、食事や排泄、おむつ交換などの技術、コミュニケーション能力について自分でチェックしていただき、面談したものをデータ化します。一方利用者の身体の状態、やってほしいことをネット上で確認していきます。このシステムによって、利用者の満足度は99%ぐらいです」
介護士の資格を持っていればスキマ時間に訪問でき、自分の得意な技術が発揮できて指名料がつけばやり甲斐も出てきます。また、自宅で最期を迎えたい利用者にとっても費用は少しかかっても、施設の費用を考えると利用価値はあるようです。
このような保険外サービスの利用は少しずつ浸透し、配食サービスなども広がっているようです。水野さんは保険外サービスをもっと認知してもらうために、今年の3月に「介護関連サービス事業協会」を設立し、ガイドラインの策定や認証制度を作っています。