介護と障害者福祉のルールは事業者主導で決める!
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長 斉藤正行さん(45歳)
今年は3年に1度の介護・障害福祉報酬改定の年。事業者にとっては売上に直結するだけにハラハラですが、「介護と障害者福祉のルールは我々事業者が主導で決める」と全国介護事業者連盟(介事連)ができて5年。4000社26000事業所が会員となり、厚労省にも意見を述べるなど大きなうねりとなっています。3年後に全国40万事業所の30%の会員を予定している斉藤正行理事長に組織の役割について伺いました。
斉藤さんも2003年からグループホームとデイサービスを全国展開していた立場。3年に1度の報酬改定で売り上げが億単位で影響するところから、中身が現場の思いとは違う、一体誰がルールを作っているんだろうと調べたところ、現場の声が政府に十分に届いていないという思いに至る。
「事業者の声が届かないのは、介護の組織団体がバラバラだからダメなのですよと話すと、99%の人が賛同します。それなら横断的な組織を作って団結しましょうよと話すと、99%の人が“今さら無理だ”という返事」
そこで斉藤さんは残り1%の人は協力してくれるだろうと、全国を駆けずり回って2018年に介事連を発足。
設立後、組織団体として潮目が変わったのはコロナ禍だったそうです。
「当初からコロナは、高齢者にとって命に関わることになると思っていました。緊急事態宣言当時は医療のことばかり報道されていましたが、介護施設で高齢者が亡くなっている状況のデータや介護事業者の経営状況を政府に示したところ。政府にはそのようなデータがなかったことから感謝されました。そして、介護は対象になっていなかった融資や職員の慰労金へとつながっていきました。国や介護業界に認知されたのはそのタイミングかなと思います」
介事連は横断的組織で「産業化」と「生産性の向上」をテーマに掲げ、きちんと制度改革をやるということを旗頭にしています。
「単純に報酬単価を引き上げてほしいという形ではなく、極論を言うと報酬単価は下がってもいい、コストが下げられて利益が確保できればいいわけです。その方が制度としては継続できます。サービスの質が下がらず職員の負担も増えないコスト削減方法は、現場にはたくさん眠っています」と、厚労省に提案をしています。
また、今回の報酬改定については「平成21年の過去最大の3.0%を上回るプラス改定を目指して活動していますが、大きなプラス改定が実現できる機会はこれが最後だと思います。科学的介護とか新しい概念の変革が訪れてくるので、事業者の皆さんにはこの3年間は、将来の変革に備えていくための期間として捉えていく必要があると思います」
現在、介護・障害福祉を合わせて組織は全国に60支部以上あり、介護関係は今年度には47都道府県に支部ができるそうです。介護・障害福祉業界の従事者約300万人のうち100万人規模の組織にしたいそうです。
※介事連の一般会員の年会費は無料。業界が団結するためにも事業者の加入が望まれます。https://kaiziren.or.jp