あなたの『終の住処』はどこですか?! 〈連載4〉
独居高齢者の見守り・確認は誰がする!
電球を換えるだけの『クロネコ見守りサービス』は便利
終末期をどこで過ごすかを考える前に、730万人と言われている独居高齢者にとって、日常生活での突然の事故をいかに早く家族や救急に連絡できるかが問題です。そのための『見守りサービス』や見守りの機器がたくさん開発されていますが、その多くは月々の費用が高く、結局誰かが安否を確認しなければならいことなど、個人で利用するには一長一短です。今回ご紹介するヤマト運輸が2年前から始めた『クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン』は、月々の費用が1078円 ( 税込 ) です。トイレや廊下など、毎日使用する電球を「ハローライト」に交換するだけで、24時間電球のON/OFFがない場合には家族に連絡メールが送られます。家族からの要望があればヤマト運輸のスタッフが代理で訪問確認するというシステム。現段階での『見守りサービスシステム』
ヤマト運輸にとっても独居高齢者の増加は身近なものに
ヤマト運輸が『見守りサービス』を始めるきっかけについて、地域共創部の川野智之さんは「サービスの検討を始めたのは3年ほど前ですが、当時担当していた東京の多摩ニュータウンでは非常に高齢化が進んでいました。日頃地域の方々と接する機会が多い我々にとっても独居高齢者の増加は課題に感じていました。地域でのコミュニティが希薄化し、近所同士の付き合いや自治体との関係性も年々少なくなっているようです。それらが孤独死に繋がっていることから、社内でも見守りサービスが今後必要であるという話になっていました。全国に3,300ヵ所の営業所があり、社会的インフラとしての物流ネットワークを持っているヤマト運輸として何ができるか。見守り事業を行うことで、地域にも貢献でき、社会課題にも対応できると考えたのがはじまりです」
そこから効率的に見守りができるツールを検討していたところ、すでに個人宅用に2018年から販売されていたIoT電球「ハローライト」を知り、ヤマト運輸のネットワークを活かした訪問機能を組み合わせたそうです。
①申し込みをすると、ヤマト運輸が設置先と連絡を受け取る通知先のメールアドレ
スをハローライトに事前にセッティングします。
②設置先の最寄りのヤマト運輸の営業所のスタッフは、設置先宅を訪問し、ハロー
ライトを取り付けます。設置 場所は、1日 1 回は必ず使うトイレか洗面所などを
推奨しています。
※ Wi-Fi といったインターネットの環境がなくても使用可能。
③ハローライトは、 前 日 の 朝 9 時 から当 日 の 8 時 59 分 まで の 24 時 間、 電 球 のON/OFF を計測。その間に1 回も使われないか、つけっぱなしになっていると自動的に異常を検知し、通知先のご家族にメールで知らせます。
※ 1週間に1 回は、使用状況を知らせるウィークリーレポートを配信。
④異常検 知のメールをもらった通 知先のご 家族は、「訪問依頼 」をヤマト運輸のネコサポサービスセンターに連絡すれば、ヤマトのスタッフが無料で代理訪問して
くれます。※代理訪問の受付時間は 9 時から18 時(年中無休)です。
『見守りサービス』から利便性向上へ
高齢者の要望、自治体の要望に応えたい
多摩ニュータウンで実証実験を始めたのが2020年。『クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン』の契約件数は3月末で約8,000件、昨年度は18の自治体の「高齢者見守りサービス」を受託し、自治体の負担も少なく利用しやすいシステムと低価格なことが好評のようです。
また、個人契約者をみると40代から50代、60代前半が多く、設置先は70代から90代の親御さんが多い。全国展開しているので幅広い地域で利用が可能です。(一部離島を除く)
3,300ヵ所あるヤマト運輸の営業所をうまく活用した『見守りサービス』は、今後利用者や自治体の要望などにも応えていくことでビジネスとしても拡大していきそうです。
「現在の通知方法はメールですが、アプリを利用した通知方法にするなど、まだまだお客さまの利便性を向上していきたいと思っています。そのためには、まずこのサービスをより多くの方々に知っていただけるよう積極的に周知していきたいと思います。
また、ヤマト運輸の持つ経営資源や、宅急便を通じて培った地域の方々との信頼関係を活かし、 高齢者や地域の課題をサポートできる事業の可能性はまだまだあると思っています。すでに一部の地域で行っている日頃の買い物支援もその一つです。それぞれの地域の特性を活かしながら自治体とも連携して取り組んでいきたいです」と川野智之さん。これからも独居高齢者のための事業に期待したいです。