48歳からの華麗な生き方・老後をサポートする

あなたの『終の住処』はどこですか?! 〈連載3〉 

 訪問診療のドクターの見つけ方・・・

地域で見つからなければ『医師会』に聞く!

NPO 地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク 

千葉県松戸市:いらはら診療所 苛原実院長

在宅で安心して最期を迎えるために一番必要なことは、訪問診療をしてくれるドクターをどのように探せるかがポイントです。

『訪問診療』と『往診』の違いは?!

厚生労働省の用語では、定期往診のことを「訪問診療」とよび、臨時往診のことを「往診」と呼びます。もともと、医師が患者宅で診療行為を行なうことを、保険診療で「往診」と呼んでいました。以前は、定期的に訪問しても臨時で訪問しても、「往診」という名目で保険診療が行なわれていたのですが、その後、重度の障害者に計画的に訪問して医療を行う行為を厚生労働省が重視するようになり、それを新たに「訪問診療」と呼んで識別しました。このため、現在では、「往診」という保険診療用語は、臨時の医師の訪問行為だけを指すようになりました。         

最近は「訪問診療」を掲げている診療所も多くなりましたが、在宅医療に取り組んでいる組織もたくさんあるようなので、自分の病状などによって、例えばがんなどであればホスピス関係の組織をネットなどで探すことができます。

その組織の一つ「NPO 地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク」(略:地域共生全国ネット)は、旧NPO在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワークと地域医療研究会とが昨年合併。「安心して子育てができ 老いても障害があっても 自分らしく暮らすことができる コミュニティーの創造」といった理念を掲げています。

長年、在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワークの会長だった苛原実院長(千葉県松戸市:いらはら診療所)は、新しくなった地域共生全国ネットについて。

「在宅で患者さんを支えていくという意味では、お医者さんだけではダメです。看護師さんやヘルパーさん、それ以外の方の介護力が必要で、その人たちとのネットワークがなければ支えていきにくい。我々はそういうネットワークを目指している会です」そのためネットワークには様々な職種の方が参加されています。

 

自宅で暮らしたい方が多いが

独居だと自宅療養は難しい?

病院から退院するときに病状や家族構成によって、自宅療養するか介護施設に入るかといった選択を迫られることがあります。そのような場合には、どのように判断すれば良いのか。

「選択されるのは圧倒的に自宅で暮らしたいという方が多いです。しかし、退院後、施設に入るべきか在宅で過ごすべきかという判断は、そんなにすぐに決められないと思います。重度な要介護状態になり訪問診療などが必要になった時に、医師や看護師に相談していけばいいじゃないでしょうか。

独居の方は自宅だと不安があるでしょうが、医療保険と介護保険サービス、それ以外の民間サービスを組み合わせていけばいいと思います。そこには診療所のお医者さんがいるので、心配する必要はないです」と話されています。

 

都心部では在宅療養はしやすい

地方は診療所が少なく訪問が難しい

 

いらはら診療所の苛原実院長(写真)は、30年以上前から千葉県松戸市で在宅医療を続け、今日では診療所を核に在宅への訪問診療に訪問看護、訪問介護をはじめデイサービスやデイケア。施設もグループホームから有料老人ホームを建設し、在宅でも施設でも過ごしていけるように選択肢を増やしています。

「自宅療養している場合、どこかの診療所にかかっていると、そこが訪問診療をしているか、していないかは分かると思います。仮に訪問診療を積極的にしていなくても、医師としては困ったら行くという先生はたくさんいると思いますよ。在宅医療は、基本的には通院が困難になったら年齢、疾患に関わらず訪問します。それが大原則ですから。

訪問診療を地域の先生にお願いするには距離的なことが問題です。我々は30分程度で行ける範囲のお宅に訪問診療します。それ以上ですと緊急往診とかができないからです。でも、地方に行くと診療所そのものが少なく、患者宅までの距離が遠くなるので在宅医療が成立しにくいのは確かです。

ここ松戸市でしたら訪問診療をしている診療所はたくさんあるので、どこでも選べるので全然心配ないと思います。診療所はいくらでもあるので、医者を取り替えることもできます。
また、訪問診療をしているところを探すには、私が所属している地域共生全国ネットもそうですが、在宅医療に取り組んでいる組織団体から探すか、地域の医師会に聞けば一番早いと思います。地区医師会のホームページを見れば、在宅医療をしているかが書いてありますからすぐにわかると思います」

 

これからは「畳の上で死ねます」

厚労省は高騰する医療費を抑えていくために、病院から在宅療養を進めていく考えです。そのため診療報酬を手厚くし「在宅医療」を推進してきたように思っていましたが、4年ほど前に極端に診療報酬を下げ、その時に訪問診療しているところがかなり減ったそうです。

また、東京では新規に医療設備を整えて診療所を開設するには多大な費用がかかることから、外来を受けずに医師と看護師がグループで「訪問診療」するところが増えています。

苛原院長は「通院が困難になった人たちを訪問診療している様ですが、そういうやり方というのは良くないと思っています。なぜなら外来診療もやり、深夜の訪問もやりながら地域に根付くことが必要だと思っています。ただ訪問診療だけをしているというのは賛同できません」と。

20年以上前には在宅療養や施設入所であっても、最期は救急車で病院に運ばれて病院で亡くなっていましたが、今は施設でも看取りがされるようになっています。

一時「畳の上で死にたい」と啓蒙活動されていましたが、今はどこで最期を迎えたいかという選択ができるようになりました。

 

NPO地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク事務局は

千葉県松戸市/いらはら診療所内にあります

TEL 047-347-2231  FAX 047-347-2551

 

関連記事