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植物の力とハンドケアで認知症の予防改善を目指したい!!

一般社団法人 日本フィトセラピー協会 

理事長 池田明子さん

アロマやハーブを香りで楽しむことが、ストレス解消に効果的であることはよく知られています。植物の「フィト」と治療・療法の「セラピー」が合わさって、植物療法「フィトセラピー」と呼ばれます。この植物療法をハンドケアマッサージによって精神的な癒しを提供し、さらに今後も増加が予想されている認知症の症状改善を研究しているフィトセラピー協会の池田明子さんに、その効果と解消法について伺いました。

池田さんが自然治癒力の素晴らしさに目覚め、伝統療法に出会ったのは約40年前。その後、アロマセラピーやハーブ療法などを総合したフィトセラピー(植物療法)を勉強している時に、お父さんが半身不随になりました。その時、植物オイルを使った手のマッサージ(以下ハンドケアという)を施したことがきっかけで、その後フィトセラピーの学校を始め、そして協会設立へと進展していったそうです。

「一人暮らしの父は、介護の人を24時間お願いし、リハビリも行っていましたが、私は父に様々な自然療法を行いました。その時、ハンドケアもしていましたが、ある時、植物オイルを使ったハンドケアの効果を確信した出来事がありました。それは90歳の知人男性を見舞った緩和ケア病棟でのことです。その方には定期的にハンドケアをしていましたが、意識がなくなった後でも行ったところ、一瞬、意識が戻り『ありがとう』と言われたんです。私はすごいと思いました。 それからはハンドケア活動にも力を入れ、高齢者や知的障害者施設へ、当カレッジの受講生とともに積極的にボランティア活動に行っております」

手は脳と密接にかかわっていて、ハンドケアをすることで自律神経が整い、ホルモンバランスも良くなります。また近年、認知症予防になるローズマリーなどの精油を使ったハンドケアは効果が高く、数年前から大学と共同研究を進め、国内外の学術集会に発表しています(第10回認知症予防学会学術集会など)
「植物の香りが嗅神経に作用し、認知症予防と改善につながることを発見したのは、鳥取大学医学部の浦上克哉教授らが行った研究です。この研究では、お昼はローズマリーカンファー2滴+レモン1滴のブレンド精油、夜は真正ラベンダー2滴+スイートオレンジ1滴のブレンド精油の芳香浴で、アルツハイマー型認知症の方々に有意な改善が見られたのです」と池田さん。そして、フィトセラピー(植物療法)の専門家として、現在は精油の誤った使用方法が広がっていることに対して警鐘を鳴らしています。

「特殊な販売業者が、原液を薄めずに塗ったり飲んだりする行為が黙認されています。危険な行為なので、私どもでは薬剤師と一緒に正しい使い方の講座を行っています。 また大学と共同で精油の原液を皮膚に塗布する実験を行ったところ、皮膚に大きなダメージが出たため、今年の日本アロマセラピー学会で発表する予定です」

大量生産と消費の時代ですが、自然療法を行う者としての感性はしっかり磨いてほしいと。有用な植物成分が誤った使用方法で社会問題にならないよう、教育することも使命の一つだと話されています。

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