“免疫力を高めるコツ” 教えます! ②
今ある「疲れ」を撃退する方法I
「肩こり」を今すぐ撃退する法 肩こりは「消炎鎮痛剤」では治らない!
この連載は免疫学の権威の故安保徹先生の『ど〜もど〜も』に連載した内容を紹介します。
「疲れ」の代表的な症状と言えば、体の重さ、痛み、冷え、 震えなどでしょう。これまでの医学の常識では、原因が分 からない症状もありましたが、免疫学の立場からすれば、現代医学の常識をくつ
がえすような原因が見えてきます。 同じ姿勢で作業をしていたため、肩や腰が重くなり、しばらくすると痛く
なってきた。この体の重さや痛みを、消炎鎮痛剤を飲んだり貼ったりして治 そうとする人がいますが、消炎鎮痛剤が実はこり、重み、痛みを悪化させるも のだと言ったら驚くでしょうか。
なぜそう言えるのか。まず肩や頭、腰がこって重くなるのは、ストレスによ り交感神経が優位になり、血行が悪くなっている状態です。血管の収縮が続 くことで、血流が滞り、疲労物質(乳酸など)がたまって筋緊張が起きてくる のです。頭痛も頭の筋肉が緊張して起こります。
こうして筋緊張が起こると、次には、回復を図るために副交感神経が優位に なります。副交感神経は、プロスタグランジンというホルモン様物質を使って、 血流を回復させようとします。プロスタグランジンには、1血管を拡張させ
る2痛みを起こす3発熱させるという働きがあります。疲れが生じた患部に 感じる痛みや熱、腫れなどは、プロスタグランジンが血流を回復させて組織の 修復を図っている「回復反射」現象です。
痛みは「冷やさない、温める」
では、痛みが出たら、どうすればいいのでしょうか。一番いいのは、温める か軽い運動をして、血流を促すことです。そして、同じ姿勢から解放すること が大事です。
やってはいけない対処法が、消炎鎮痛剤でプロスタグランジンの産生を止 め、血流を止めて、患部を冷やしてしまうことです。痛みは取れますが、回復 反射を一時的に止めてしまうわけですから、薬が切れると、また回復反射が起 こって、いたちごっこが始まるのです。
こうした消炎鎮痛剤を長期間使うと大きな弊害が生じます。プロスタグラ ンジンには、交感神経の優位にならないよう、アドレナリンなどの交感神経に 関わる神経伝達物質の産生を抑える働きがあります。消炎鎮痛剤でプロスタ グランジンを抑えると、交感神経は積極的に神経伝達物質をつくるようにな り、こりや重みの原因となる血流障害をますます促進し、顆粒球も増え。から だのあちこちで炎症が起きてきます。このようにして消炎鎮痛剤は、患部を かえって悪化させてしまうのです。
こりや重み、痛みの自覚があれば温めて、運動をして、体の組織修復のプロ セスを促進しましょう。
ただ、最終的には、症状の本当の原因、ストレスを除くことが不可欠です。疲 れをためない生活を始め、交感神経が緊張し続ける生活スタイルを見直すのです。