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認知症なんかこわくない⑧

2016.09.02

川崎幸クリニック杉山孝博院長

認知症をよく理解するための8大法則・1原則

〈第1法則〉

記憶障害に関する法則

(下)記憶障害の3つの特徴

ⓐ 記銘力低下 

ⓑ 全体記憶の障害 

ⓒ 記憶の逆行性喪失

前回はⓐ「記銘力低下」についてお話しましたが、今回は「全体記憶の障害」についてです。

ⓑ全体記憶の障害

これは、「出来事の全体をごっそり忘れてしまう」ことを言います。私たちの記憶力ははかないもので、細かいことはほとんど忘れてしまいますが、大きな出来事、重要と感じたことは記憶にとどめます。

ところが、認知症が始まると自身が体験した出来事全体を忘れるようになります。デイサービスから帰ってきた認知症の人に、家族が、「おばあちゃん、今日どこに行って何をしてきたの」と尋ねても、「どこも行かないで、一日中家にいた」とまじめな顔をして答えるのが普通です。デイサービスに参加したこと全体をきれいさっぱり忘れているからです。

また、食べた直後に「まだ食べていないから、早くご飯を用意して」「食事をさせないで殺すつもりか」という場合に、この法則が適用できます。認知症の人は、ある時期、異常な食欲を示すことがあります。一人分を食べても空腹感が残っていて、しかも食べたことを忘れる(細かい献立の内容を忘れるだけではない)ため、前述の要求が出てくるわけです。こんな場合、「今食べたばかりでしょう。これ以上食べるとおなかをこわすからダメよ」という言い方はダメで、「今、準備しているから少し待っていてね」「おなかがすいたのね。オニギリがあるからこれを食べていてね」といったふうに対応した方がうまくいきます。

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